9.好きなだけやってくださいよ
それでも、今この瞬間は、もう違っていた。
「博士はきっと、御自分じゃなくて良かったんです。御自分は
「
言葉が、静かに終わる。
それで充分なはずだった。
「まあ、あたしは細かいところ、わかんないけどさ。たとえ浮気してたって、隠し切ったんならノーカンじゃん! 墓の下まで持ってったんだから、最低限のスジは通したわよ、多分!」
順に一人づつ発言したせいか、最後に
ついでに、ナバルまで苦笑していた。考えてみれば、
そして、深く頭を下げた。
「みなさまの、お話……良くわかりました。ミスター・ティンバーレイク、先ほどの無礼を
頭を下げたまま、一呼吸、
「お
「あなたの中の
ナバルも
礼を交わす二人の間、アタッシュケースに重なって、長い黒髪の女性の
********************
「わかってない! わかってないよ! クリスマスの夜に
「でも、十一歳の時はプレゼントもらったんでしょ? そこで一回リセットしても良いじゃない! 包容力の
テーブル席に置いたアタッシュケースを、
穏やかな表情の
「理事長。つかぬことを、おうかがいしますが……」
「あ、あの……それ、どうなさるおつもりですか……?」
「どう、とは、いかがな意味でしょう?」
「そりゃあ、まあ……そうですね。太平洋と日本海にバラバラに
「私をなんだと思っているのですか。心外ですね」
「夫の墓の……
二〇二二年から二〇七四年までの、五十二年を超えた再会、ということになるのだろうか。
死者はなにも言わず、なにも望まないと、ナバルは言っていた。生きている者の記憶が死者を
「夫が、大切に
「理事長……」
「
「もちろん、私は夫と同じ墓に入って、見せつけてやりますが」
ふん、と鼻息を吹く
「究極のマウンティングですな……」
「お、大人げないにも、ほどがありますよ……」
「いやホント、好きなだけやってくださいよ、もう」
二人を尻目に、
ちょうどタイミングが良かったのか悪かったのか、
相変わらずキャンピングカーの窓は
運んでいる物が物だけに、そのままフライトに直行だが、また空港ラウンジで西海岸の秋の夕暮れと
長いような短いようなアメリカの旅に、それは
〜 秋の夕暮れと超機動合神サーガンディオン 完 〜
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