1.招待状をいただきました
二十一世紀の人類史の動きは、ゆるやかだった。
西暦二〇七四年になっても、日本は
秋晴れの午後、とある大病院の理事長室で、上品な和服を着た老婦人が
「アメリカから、レトロ・ジャパンアニメ・フェスティバルという
「はあ」
「達者な日本語の文面で、差出人は
理事長室に入った時から、いや、
「どちらのどなたかは存じませんが、この名前を出されては、
「招待状には他に、イベントの安全管理手続き上、アメリカ在住の身元保証人を
「はあ……」
「
「ええ、まあ……娘が、ロサンゼルスの大学に、留学していますが……」
「ロサンゼルスなら、封切りの会場がすぐ近くですね。仕事もお忙しいでしょうが、たまには顔を見に行かれるのも、娘としては嬉しいものと思いますよ」
「理事長、提案があります」
柔道の受け身などでは、
身体工学に
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おおむねビジネスクラス以上の航空券である場合、各航空会社が運営するラウンジが使用できる。荷物の
とある日曜日、おだやかな
「ちょ、ちょちょ、ちょっと
「俺たちをハメましたね、
二人そろって
「状況が状況だけに、おまえたちも大方、
ライトグレーのスリーピースで、ソファにふんぞり返った
この四人の顔ぶれとなれば、心当たりは一つしかない。
この年の夏、
「移動日を抜かして平日、出張扱いで高級ホテルのロサンゼルス四泊五日、イベント当日以外は自由行動だ。悪くないだろう」
「そりゃあ、まあ……
「なんだ、それは?」
「レトロ・ムービーです。イベントなんでしょう? シャレになってませんよ、もう」
「
レトロの看板にふさわしく、製本され、招待状に同封されてきたパンフレットを、
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