第5話 業火が這い回る世界



 一つの戦略兵器が火を噴くたびに、大地から真っ赤な灼熱の炎があがる。

 土地を燃やし尽くす。

 人を燃やし尽くす。


 今まで続いてきた長い歴史を、歩みを。全てを灰にかえていく。


 私達は、いつからその炎を見かけるようになったのか知らない。


 ただ、戦争が始まる前にはなかったという記録があるから、多くの人は戦争の罰だととらえているようだ。


 貴方を愛せず、貴方を許せず、貴方の目を見ない、貴方の話を聞かない。


 そんな罪が、大地が火を噴く原因になったのだと。


 歴史の研究者はもっと別の見解を示しているが、そちらの方はよく分からない。


 私にとっては、どちらであっても同じこと。


 行く手を阻むやっかいな炎の壁、ただそれだけ。


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