第4話 太陽のない世界、争いの続く世界



 この世界には太陽がない。

 この世界に生きる者達は、朝日の眩しさを知らない。


 そもそも、太陽というものに、思いをはせるほど余裕がない。


 いくつもの国に分裂して、争っている私達は目の前にある景色に感動する心の余裕をもたない。


 私の国はそうまでしたのに、勝利の女神のほほえみは得られなかった。

 敗戦のただなかで、敗北寸前だった。


 なんの力もない小国だけど、虎の威を借りてどうにか生き延びて来た。


 ありふれた国。

 ありふれた街並み。

 ありふれた住民達。


 けれど、姫たる私が逃げ出してしまったから、彼等はもう終わってしまうだろう。


 侵略されて奴隷のように働かされているかもしれない。

 それとも、何の価値もなしと判断されて、虐殺されているのかもしれない。


 痛む心はとうに捨てた。

 私は彼と生きるのだ。


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