第42話 対立

話はしばらく続けアフタヌーンティーが無くなってきた頃、アイおばあちゃんが立ち上がり言った。


「夢乃、家を案内して上げる。」

「俺も着いていく。」

と道は突然立ち上がり言うとアイおばあちゃんは微笑んでいる。

この時の声は何故かいつもよりそそのかすように聞こえた。


「ふふ、別にとって食いはしないわよ。2人で話したいことがあるの。」

「なんの話しをですか?」

「おもいで話をしたいのよ。それに色々教えてあげたいこともあるし。」

「夢乃は大丈夫なんですか?今までの行動を見ていると2人きりにさせる訳には行きません。」


道が怒りを露にしながら話し、アイおばあちゃんはからかっているように答えた。

するとノアが立ち上がった。


「なら私が着いていこう。私だってアイと夢乃の仲に関係がない訳では無いだろうし、少しは道くんの不信感を拭うことはできるのではないか?それに道くんも話したいことがあるのだろう。」


道はたじろぎながらも、それならと了承した。


「私もノアが来ることは構わないわ。まあ色々安心出来たし。さ!夢乃行くわよ。」


アイおばあちゃんは明るく腕を引っ張る。

失礼と頭を下げ着いてくるノア。

道はとても心配そうにこちらを眺めなていた。


かちとドアを閉じると、階段に案内され上の階に登った。

廊下には引っ掛けられた様々な可愛いインテリアが存在していた。


「これも全部アイおばあちゃんの手作り。」

「そうね。向こうの世界の物は持って来れないからね。デザインは拝借しているものは多いけど。」

「凄いわね。私は不器用だからそちらの才がなくて尊敬出来る。」

「夢乃と話すことは私の老後を思い出すわ。」

アイおばあちゃんの老後は悲しく見えた。

しかし思い出す顔はまるで同窓会でクラスメイトと話すような様子である。

私が思い込んでいただけでそんなに悲しく無かったのかな。


「ここの部屋は私の1番のお気に入りなの。あまり人に入られたくなくて、私のノアや幸男にもほとんど入らせてないのよ。でも夢乃は特別だから見せてあげるわ。」

アイおばあちゃんは可愛らしい。

美しい見た目をしているが、はっきりと物事を言い、素直にいきている。

私とはまるで反対だな。


ドアが開かれるとその部屋は窓から陽光が指していて、小さな水晶や布などの雑貨作成グループ、宝石、トランプなどが綺麗に並べられていた。

庭の木々や花、吊り下げられている草全てがそこを装飾していた。


「ここはね、私のアトリエなの。」

「こんな場所で作業が出来るなんて羨ましいわ。」

「アイらしい綺麗な部屋だな。」

「ノアは夢乃のおまけだけどね。」


アイおばあちゃんがいつも座っているらしい場所に座った。

ノアは杖で少し狭い部屋のすき間にギリギリ入るくらいの長いソファーに変えた。


「本当にその杖は便利ね。」

とアイおばあちゃんが呆れながら言う。心の中で同意をして、私はアイおばあちゃんの話したいことは何か思いをめぐらせる。


アイおばあちゃんは昔から口数の多い方で、無口な私には心地の良い人だった。

無言であっても気にしない。

その空気感が話さなくてはという緊迫状況になく、好いていた。


やっぱりノアのことかしら。それともこの世界について。もしかしたらあの夢について知れるかしら。

期待と不安が行き違う。

そんな中、アイおばあちゃんは拍子抜けするような一言を言った

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