第28話 道視点
今日は散々な日だ。
1日前までのワクワクを返して欲しい。
それは旅行1日前。
この不幸はまず由衣の一言から始まった。
「私、夢乃さんと仲良くしてみたいの。協力して。」
由衣いわく、幼稚園の頃から中学生にかけて一方的に知っていたらしく、ずっと話してみたかったらしい。
それは仲良くして欲しかったので良かったのだがそこから派生したことが問題だ。
まず、由衣を取られたように感じ、美月が怒る。由衣はもともと誰かを好くような性格ではなく、美月の積極的アプローチにより仲良くなった。
そんな由衣が自分から仲良くしようとしたことにより、怒ってしまったようだ。
それに加え美月も夢と仲良くしたかったが、なかなか上手くいってなかったことも原因であっただろう。
次に蓮は美月のことをずっと前から片想いしていた。蓮は美月のことをよく見ている。俺なんかより沢山のことを知っているのであろう。
そんな美月が夢に対して怒っているのだから、呼応して怒ったに違いない。
蓮はそもそも昔からつるんでいる俺たちを除き、人が嫌いな奴だ。
そんなことにより、当日は想像以上に夢と話すことはなかった。
そもそも美月が連れてきた四宮大地は、彼氏らしくよく会ったりすることもあるが、夢と仲が良すぎる。
美月とも全く話さない。この2人は本当に恋人なのか疑問に感じてしまう。
夢と四宮は高校生の頃からの友人らしく、絵をSNSにのせることをすすめしたらしい。
そのため、いろんなアドバイスを貰ったりするビジネスパートナーとしての役割もある。
夢は予定通り由衣と四宮の3人で仲良くしていた。
恋人の俺は美月と蓮の機嫌をとっていた。
それは全く構わないのだが、せっかくの彼女と来たのだから俺も話しかけたりしたい。
不意に1人になっている夢を見かけた。どうやら猫とモゾモゾ言っているが、話しかけてみようと近づく。そうすると夢は大きな声で言う。
「行きたい!」
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