第25話 雨
上品な街並みが私の心を奪ったことは言うまでもない。
赤、青、緑、黄色、紫、それを控えめに支えるテラコッタの煉瓦。なんて綺麗なのだろう。
よく見れば、行き交うもの達は異形なものや人、動物などが横行していている。
異形なものも何処か懐かしいキャラクターであったり、動物も二足歩行のものもいる。
それが紅茶をカフェで飲んだり、足を組んで本を読んだりしているのだから笑えてくる。
「この街は今から遠く昔に存在していた街さ。まあ少し空想は入っているがな。」
「少しのレベル超えてるだろう。」
ノアはポケットの中からいつの時代のものか分からないがよく磨かれた懐中時計を出し、何かごにょごにょ言っている。
道も驚いているのか、少し目をパチパチさせている。
その様子に一松の不安を感じてしまう。するとポツンっと、雫がおでこに落ちてきた。
「これはいかん。雨が降ってきたようだ。ひとまず、私の家に避難しよう。」
この世界に雨が降るのか。天候は時空の垣根を超えるらしい。
ノアの家…。あまり馴染めない名前に驚いてしまう。
「ノアの家?」
「ああ、本当は寄る予定はなかったのだが、雨に降られるのはいただけない。大雨になる前に行こう。その大通りを抜けてしばらくな場所だ。道くんいつまでも口を開けてないで行くぞ。」
「おう。」
ノアは真っ直ぐと道を歩き、私と道は後を追った。
ノアの磨かれた黒い靴は音を立てながら街を掻き分けていった。
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