第22話 名は体を表す

「うーん、道くんは通常の世界に喋る猫が現れ、名は確かにノアと友人が呼んでいたのだね。そしたら、突然大きな図書館のような場所に飛ばされ、そこで友人からの頼みで、夢乃に触れながら目をぶつったらこの世界にたどり着いた。」


「大まかはそうだ。この世界について1分後、激しい風が吹き、そこからはご存知の通りである。」


ノアは道がデイリーさんに会っていないことを知った後、状況を根掘り葉掘り聞き、現在の状況に至っている。


道たちが言っている猫というのは、確実にノアだろう。ノアは今まで私と一緒にいたはず。

ノアは2人いるってことかしら?


「なるほどね。君は友人に言われ、この世界に訪れたようだね。」


友人――。間違えなく大地のことであろう。

あの猫を知っているのは、大地と由衣さんであり、同時にノアと読んでることを知っているのは大地と由衣さんだ。


由衣さんは億が一でも勘づいていたとしても、道をこの世界に連れてくるようなことはしない。

まあ、大地に対しても何を考えているかわからないけど。


ノアによると絶対に触れてはならないとデイリーは確かに言っている。寝ている人の夢の世界に入ってしまうから。どうやらあまり良い事では無いらしい。


大地は真面目で誠実な男だ。そんなことはしないはずだ。そして何より理由も利点もない。

もし会うことがあるなら絶対に聞きたいと思う。


ノアと道は色々話している。しかし、警察の尋問調査のような感覚であり、ノアは質問に道は困惑しつつ答えているようだ。


「夢乃?」

ノアがこちらを心配そうに見ていた。そんな美しい瞳を不意に向けられるこちらの身にもなって欲しい。

「はい。」

「はは、いい返事だね。今から次の目的地の説明をするから聞いて欲しい。いいかい?」

「もちろん!」


ノアは優しい声で少し目を細めたように笑い、咳払いをして話をした。


「旅を再開したいと思う。次は明確に目的地を決めた。街に行こうと思う。」

「街があるのか?」

「そうだよ。移動方法だが、うーんそうだな。」

ノアがぐるりと周りを見た。悩んでいるのだろうか。

しかし、しばらくすると閃いたといった感じで、手を叩き、道の方を見て言った。


「そうだ。道くんが決めてくれ。君の名前は道だから、きっと近道が出来るよ。ここはそういう世界だからね。」

「俺にはとても出来ない。思いつかないだ。」

「君の名前は『道』なのだから、君が行きたいようにすればいいのだ。」


ノアが何処か得意げそうに髭を手で撫でる。

道の困惑した表情を見た。いつも逆の立場なのに。


「ふふ、ノアはこの世界に随分長いこといるわ。だからノアの言っていることを信じて大丈夫よ。」

「そうか。さっきまで何で移動していたか教えて貰っていいか?」

「さっきまでは飛行していたわ。とても風が気持ちのよ。」

「それはいいね。でも俺は飛ぶことは出来ない。」


それは確かにそうだ。しかし、ノアから難なく教え、器用な道は直ぐにたどり着くだろう。


「ノアさんはいつもどんな方法で移動しているんだ?」

「私は様々な用途を使っている。時には杖で地面を割いたり、時には馬車で道を駆け抜ける。先程のような飛行もその能力にたるひとつだ。」


「道くんにはこれがおすすめだ。方角を指でさし、決めなさい。」

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