第20話 再開

「でもどうやって道に会いに行くの?連れてくるということは、道はここに来ないということでしょう?」

「道くんのいる場所は検討している。それより重要なのはどう連れていくかだ。」


ノアは考えているかのような素振りをする。ノアはハッと何かに気づいたあと、ドームさんに話をかける。


「ありがとう、ドーム。君は戻って、デイリーに伝えてくれ。『事情は後で聞くと。』」

「はい。わかりました。それでは夢乃様さようなら。」


そうこちらをつぶらな瞳を向け告げる。どうやらドームには表情があるように見える。


「さようなら」と私が返すと、微笑んだような表情を浮かべた。

そこから羽ばたかせる桜の色の翼は美しい。


「夢乃、今から道くんの所へ行くよ。」

「飛んでいくの?」

「いいや、道くんとは早く会った方がいい。今すぐ両方から近づくとしよう。」


ノアは少し意地悪な声をした。どんな方法を使うのであろうか。ノアは紳士であるが、行動の幅が恐ろしく広い。

あの声を聞くと身の危険を感じる。


大地は大丈夫なのだろうか。心のどこかで道が来るとわかっていた。きっと大地は来ないと。

大地は優しい。だからこそ、人の心に土足で荒らすことを嫌っている。

道は優しいが、逆の優しさのような感覚。

大地は視野が広く、大人のような配慮をしてくれる感覚だ。一方、道はふっと心に入り、笑顔でいてくれる受け入れてくれる優しさだ。


「夢乃、私の腕に捕まりなさい。離しては決していけないよ。」


考えにふけっている私はノアの腕を言われたまま掴んだ。

そうすると、ノアは

――カンカン

と2回ほど杖をプラットフォームに軽く叩いた。


心地の良いかぜが目の前から感じる。まるで夏の日の海風のような。心地良さに目を閉じている。


その風はゆっくりと、しかし確実に強くなる。秋の冷たい風、北風…。

いや!これは流石に激しすぎる!?


風はいつの間にかハリケーンのような強いものに変わっていく。私はノアの腕を離さまいと必死で纏わりつく。足はもう浮いている。


「ノア!!!飛ばされちゃう!!!!!!!」

「しっかり捕まるんだ。」


ノアはこんなことにも慣れているのだろうか。だとしたとしてもこれは許し難い蛮行である!


私がノアの腕を離したら、無重力の世界で1人きりになってしまう。その恐怖は何より恐ろしい。


風がゆっくりと止んでいく。

先程と同じように、ハリケーンから、北風、秋の冷たい風、最後に春のそよ風のような気持ち風に。


私は腰を抜かしてしまい、足がつくと同時に、崩れてしまう。


「よく耐えたね。」

と微笑むノアに少しいだらちを覚えながら、息を整えることにした。


私が風に飲み込まれ、呼吸を1つ薄くする。前をゆっくり向いていく。そこには酷く動揺した道の姿があった。

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