第19話 予感

その鳥は、桜色の美しく、大きな羽を広げ、現れた。きっと人間であったら美人にカテゴリされるであろう。


――ノア様。

デイリーさんもノアのことを様付けしている。ノアは相当偉い人なのかもしれない。


「どうしたんだい?ドーム。」

「それが…。」


あの鳥の名前はドームと言うらしい。

ドームさんがこちらをちらっと見て、ノアの耳元で、私の耳に届かない程小さな声で話をした。

しかし、私は五感が生まれながらに優れていて、縄文時代なのなら、その潜在能力で生き忍ことが可能であると、自分で認めているほどの逸材。例え、鳥のさえずりであろうと聞き逃すことはしないのだ。


なんとか目を閉じ、聞こえたのはワンフレーズであった。

――侵入者が…。

侵入者?どういうことなのだろうか。

ノアは私に聞こえない声でドームさんと話し合い、今聞こえるのは、ドームの少し漏れた声に、私の心臓の音であった。


侵入者……。

――この世界に誰かが来たということ?なら誰が。

侵入者が現れたらしいのです。

――この世界は誰にも見られたくない!

どうやら入口までは5名いたのですが、

――入口?あの洋館を5人に見られたの!?しかも5人って、旅行にきたメンバー。

デイリー様はいらっしゃりました。

――嫌だ!この5人特に蓮さんや美月さんに見られたらバカにされる。

アイ様の

――アイ様ってアイおばあちゃんのこと?

道。


道という単語を聞いた途端、何も反応することが出来なくなる。道はこの世界を気味が悪いと感じるかもしれない。しかし、私はこの世界を中々気に入っている。


道に否定されたら、私は道とはもう――。


――お願い!大地が来て!!


気がつけば、私は立ち上がり、ノアのベストをつかんでいた。まるで不安になった子どものように。

ノアは少し瞳孔を大きくしたように見えた。そして落ち着いた声で話す。


「夢乃、悪かったね。不安な思いをさせてしまった。」

「私も話している途中にごめんなさい。でも、とても気になって。何を聞いたか、できる範囲で教えてくれる?」

「もちろんさ。」

ノアは優しい。これではまるで5歳児と紳士な保育園の先生のようだ。

こんな風に接していたい訳では無いのだが。


「夢乃、この世界にお客様が訪れたらしい。私たちは今から出迎えなくてはならない。」

「…誰が来るの?」

「夢乃のことを愛している人さ。君の大切な人だよ。」


道が来るのか。それは確信に変わった。

絶望と期待の渦が動き始めた。

「なに!心配することは無い。私たちは気ままな旅人。それに私がついている。さぁ!道君を連れて来るとしよう。」


私は鐘の音がどこかから聞こえた気がした。

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