第8話 入口2
手がヒリヒリと感じる中、新緑をかき分けて、前へ進む。草の上でなる音に心地良さを感じつつ、心は真っ直ぐに洋館へ向かっていった。
辿り着き、感覚が薄くなった手でドアノブを握る。心がドキドキする。
その建物は私が理想とする図書館のような見た目であり、実際中身がどうなっているか、そしてノアに会えるのかそんな淡い期待が、賢さを排除させる。
きぃと音を立て、開かれたドア。
建物の内装はまさに理想通りであった。沢山の蔵書が詰まった本棚が一面にあり、中央にかけ下っていく階段がある。ステンドグラスの窓や電球が不思議な雰囲気を醸し出していた。
魅了されるままに階段を下っていくと、私は青い光を全面に浴びた。上を見上げると、星空が私を照らしていた。
なんて美しいのだろうか。先程庭で見た星空をさらに繊細に大胆に移り、息をするのを忘れてしまう。
「夢乃様、ようこそいらっしゃいました。そしておやすみなさい。」
と声が聞こえた。しかしそんなことはどうでもいい。この瞬間を、二度と見ることはないだろうこの美しい時を目に刻むことで頭が精一杯だった。
そう考えていくうちに、私の視界は暗くなった。
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