第6話 夜空の不思議
そこから温泉、食事、観光と楽しんだ後、いよいよ夜が来てしまった。相変わらず、蓮さんと美月さんは私に冷たくあたり、他のふたりがフォローをする流れが出来ていた。
正直、猫もといノアと話してから、その事のみしか考えられなくなっていた。モヤモヤ感こそあるが、やはりそこに戻る。この責任は結構重たいと思う。
私達は朝聞いていた通り、由衣さんの誘いで結構広さのある庭に案内され、星を見ることにした。スープを準備することとなっている。
冬の夜は少しばかり寒いから、暖かいものがあった方がいいだろうということである。準備と言っても、そんなに凝ったものではないが、手短に作った。ブランケットを羽織り、外へ出る。
そうすると田舎の北風が、私を襲いかかった。寒いと言う声もいくつか聞こえるが、全くその通りだと思う。冬の夜には外を出るべきではない。
しかし、その考えは一変することになる。その庭から見る星空は、どうでもいい思考を打ち消す力があるのだ。
真っ暗の中だからか、星が無限に広がり、月明かりのみ私たちを照らした。星が点ではないと、空は一色ではないと、青には沢山の種類があることを理解する。
息が止まるかと思った。私はこの景色が一番美しいと言い切れる。目が乾燥する。外は寒い。それでも目を離すことは容易ではない。五感が冴えているように感じる。
あれはオリオン座かな、冬の大三角とは、今流れ星あった。星の虜になってしまう。織姫と彦星はさぞかしロマンティックなデートを年に一度するのだな。
私はこの美しい景色を直ぐにでも写真に収めようと、四宮を探す。四宮はカメラを持ってきていたのだ。
しかし、先に目に入ったものは、四宮ではなく、道と美月さんであった。2人は顔もよく、愛想もよい。2人で星を眺める姿は本当の恋人同士のように見えてしまう。心が白から黒に塗り変わる
もう別れた方がいいのかもしれない。私がいたたまれない気持ちになり、視線を逸らすと、ヘンテコなフクロウと目線が会った。
フクロウと目が合うなんて人生でそうそうないだろう。しかし、そのフクロウはお辞儀をして、こちらに会釈をする。
いや、可笑しい。フクロウがこちらに向かってお辞儀しているように見える。
「こんばんは、夢乃様。ノア様の命令により、仰せつかりましたデイリーでございます。」
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