第2話 憂鬱な旅行①
そんな少女は今や20となり、大学生として暮らしている。
今日は滑稽なひである。
私は趣味が好きである。しかし今日は、1泊2日の旅行に行くため、集合場所に集まっている。私が1番早くに着てしまったらしい、
「夢!よく来てくれたね。」
と微笑んで話しかける男。この男は道という名であり、明るく爽やかな人に好かれる人である。私は道と付き合っているが、これは不思議な縁である。
なぜなら、成長した私は道とは反対に居るような人で、大人しい文学少女であり、なぜそんな2人が付き合っているのかと周りに思われているようだ。実際多くを外していないように自身でもそれを自覚している。
「おはよう、道。」と口に手を当て、小さな欠伸をしながら答える。今日は鼻がツーンとして、私の鼻先が赤くなっているような寒い季節である。霞が薄く全体を囲んでいるような朝で、なかなかロマンティックな空間に感傷的になり、そして私はこの空間を愛している。
それは幼い子供の頃からだ。しかし、気分はどこか右肩下がりであった。
その原因は簡単だ。
「おはよう!道!!」
「朝早いと寒いわね。カイロ持ってきてるわ」
「早く車の中入ろ!凍死しちゃう」
そう、今日は彼氏の道と道の友人達の旅行なのだ。道と2人っきりではなく。それが原因の全てである。私と道の友人はまるで持って気が合わない。
道の友人は華やかな道を堂々たる趣きで歩くことを好いているとするならば、私はその道を大きく離れ、道の隅にいる猫を可愛がり、そこから広がった縁を大切にする人なのである。そして、道もすぐにあっちの方へ行ってしまう。本当に不愉快。
そんな私と道の友人は仲良く出来る訳もなく、1人目美月は彼氏とベタベタし、2人目蓮は私を軽蔑して道との関係破壊を試みている。そして蓮さんから聞く話、美月さんと道は元恋人同士だと言うから、呆れた話である。3人目由衣さんは気を使ってくれるが、かえって私は居心地が悪く感じてしまう。
しかし、道は友人を好いており、私とも仲良くできると信じて疑わない。自由自在に道を歩き回る人はどうやら見えている人間関係が異なっているらしい。そんなところも好きではあるが、今や裏目に出ている。
そんな私が足を運んだ理由は2つある。
1つ目は美月さんからお願いされた事だ。私は道から誘われた日、ハッキリとお断りして、楽しんできてと伝えたのだが、美月さんが降臨し、強引ながらも愛嬌と勢いのある勧誘に負けてしまった。道を艶やかに歩く人を無視することは許されて居ないようだ。
2つ目、今日は私の友人である大地も参加しているところである。
四宮は優しく、抱擁力がある男であるが、根っからのロマンティック主義者であり、泣かせた女は星の数ほどいるとか居ないとか。
私が初めてノアを見せた人物であり、私の趣味である絵描きを初めて賞賛してくれた少し特別な相手だ。心中で密やかに親友だと思っている。四宮の人を誑し込む才能はもはや個性であろう。
「あ、山崎じゃん。今、顔を見るまで、本当に来るのか疑わしかったが、どうやら噂ではなかったらしいな。」と1人取り残されている可哀想な私にすぐに気づき、話しかけてくれる。
「あなたの彼女さんから猛烈なアプローチを受けてね。」
「なるほどな。」
「でも四宮が来ることって珍しいよね。わたしもあまり行かないけど。」
「まぁここに来てあんましいい事ないしな。完成された空間に入るのは、俺的にも少々キツいところはある。」
四宮は自分のコミュニケーション能力に自信があるらしい。そんな四宮にも無理なのだから、私には無理な話である。しかし、どうして今日は訪れたのか?聞こうとする前に、道から肩を叩かれ、振り返ると
「今から、車に乗るから行こう。」と告げられた。
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