第3話 変身の力、そして沼から抜けられず

 はあ、はあ…先週は大変だった…まさか倒したゴーレムに倒れ込んで動けなくなるなんてね…でも無事に倒せた。ちなみにその後数時間で片づけられたみたい。

 

 ところで今日の授業は…なるほど…”変身による魔力開放”

 「変身…?」杖でも降ったりするのかな?そう思いつつも授業を聞いていた。変身方法を聞いてなるほどってなた。制服の胸にある紋章――それを右手で触れることで変身ができるみたい。そして使える魔法が増えるとのこと、その中に…

 「拘束解除…」なにそれ、チート能力?と思ったけど、発動には条件があるみたい。枷や鎖、縄などの拘束具はもちろん、魔法による拘束でも発動す魔力が切れない限りいつでも使えるらしい。沼にはまったときは…えっと、魔術師が教えるみたい。

 「その魔法には弱点があってな、触手とか体に拘束されてるとき、あと沼にはまったときは使えないから気をつけるんじゃぞ」魔術師からそう言われた。チート魔法ではないみたいだね…

 変身した人から自分の魔法で拘束してねとのこと。自分で拘束して自分で抜け出す…自縛の授業だっけこれ?まあいいか…胸の紋章に手を当てて…うわっ!?

 

 私の体は一瞬真っ白な光に包まれた、そして次に目を開けると変身が終わっていた。その姿は白い金属でできた膝より上までのブーツ、黒い私の髪は青みがり、スカートは赤いミニスカになっていた。靴下は太ももまでの長さで青。そしてブーツの足首の部分に何か金属がある…そしてこういわれた。

 「それはなブーツが脱げないようにするロック機能が付いたリングじゃ。それと言い忘れとったが、沼にはまったときや右手が塞がれてるときは変身も変身解除もできないぞ。」

 なるほど…そんな機能が…って脱ぎにくさに特化してない?とりあえず変身はできたから自分を拘束して… ガチャ 

 よし。試しにもがいてみたがガチャガチャなるだけで決して外れない。そこでこの魔法。

 「”拘束解除”」そう唱えると、瞬く間に拘束から抜け出せた。その後いろいろあって授業は終わった。そしていつものように魔物が…沼地に送られた。しかもその沼地は粘性が高い沼がある。私は嫌そうな顔をしながらも、討伐に向かった。変身した状態で。

 

 「うわぁ…相変わらずジメジメしてるし薄暗いなあ…しかも歩きにくいし。」沼は足に吸い付き、地面から離れにくい。浅くてこれだから、深くなったらと思うと…そして歩いていたとき…

 ズブッ

 …深くなっていた沼に気づかず、膝下まで埋まった。だよね、沼地だからね。

 「んっ…く…!この…抜けない…っ」やっぱり足が抜けない。そんな気がしてた。しかも拘束解除魔法は発動しないから非常に厄介…

 「ぐぬぬ…どうしよ…ほんとに抜けだせない…!これやばいかも…」そんな時、沼から魔物が出てきた。それはカエルのような見た目を…いや、カエルだ…これ。

 「っ…やるしかない…!動けなくても攻撃はできる!たしか乾燥に弱いから…”トルネイド”!」強い風で水分を少し飛ばした。そして間髪入れず、熱風で温めて乾かして雷を当てた。まだ元気に動いてるけど、だいぶボロボロになってる。

 ゲゴオオオオオオオ

 「鳴き声可愛くない…っとうわ…何かしてきそう…ならこっちも魔法の準備をしとかないと!」私が持つ魔法の大半は唱えた直後に発動し、しかも高威力。でも一部、魔力を多く消費する上に発動に時間がかかる魔法もある。その分威力は非常に高い。

 そしてカエルは溜めていた力を開放するように飛び上がり、こちらに着地しようとした。それと同時に私の魔法が発動した。

 ゲギャウオオオオオ

 「だから鳴き声可愛くないって…あ、討伐完了したみたい。…さて、この後どうするか…」

 「んっく・・・・ぐぅぅ…!はあ、はあ…ダメ…粘性が高すぎて脚がビクともしない…どうしよう…誰か助けてくれない…?」

 そう、沼の粘性が高く、抜け出すことができない。そして途方に暮れていた時、誰かが来た。それは金髪の長いポニーテールで、左手には盾、腕とブーツは焦茶色こげちゃいろの革装備。…メルーナ王国の騎士隊隊長、エイデルフだ。

 「助けに来たぞ。沼にはまって動けなくなってるんじゃないかと思ったらやっぱりか…もう大丈夫だ、今から助けるからな。腕が汚れるけど…ふっ…!」そういうと、エイデルフは私のかかとのところまで手を突っ込んで持ち上げた。すると簡単に足が抜けた。でもこれ私だけだったらたぶん手が届かなかったよね…

 「はあ、やっと抜け出せた…ありがとう!…何か礼をしたほうがいいかな?」

 「いや、礼はいらない。で、けがはないか?…いや無傷だな。」

 

 …いろいろあったけど討伐も終わったし仲間ができそうだし。その後、すぐに戻っていつものように過ごした。


続く

 

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