第2話 鳥のはからい、ネコが会ったのは
「あのー、これから僕はどうしたらいいですかねぇ」
鳥はネコの言葉にびっくりして木の枝から落っこちそうになりました。
「何を言ってるんだ。なんて悲しい事を言うんだ。自分のしたいことをするに
決まっているだろ。誰だってそうだろ。当たり前だろ。そんなことを言うヤツが
この世にいるなんて信じられない」
そう言いながら、鳥はすこし興奮しすぎて自分の大切な黄色い羽根を一本落としてしまうくらいでした。
「自分のしたいことねぇ・・・」
ネコは、とりあえずしっぽを振ってみました。
特別おもしろいという訳ではありませんでしたが、なんとなく気持ちは
落ち着きました。
鳥は不思議そうに、ネコのすることをじっと見ていました。
「それ、なんだか、おもしろそうだな。それはしっぽだね」
「うん。そうだよ」
「・・・そう言えば、隣の国にお前に似た生き物がいるよ。行ってみたらどうかな。
楽しいかもしれない。案内してあげよう。ついて来なさい」
鳥はぱっと枝を蹴って空に飛び立ちました。
ネコは走るのはなんだか嫌でしたが、しかたなく鳥の飛ぶ後をついて行くことにしました。
丘の上まで行くと、たくさんのイヌ達がワイワイからまって遊んでいるのが遠くに見えました。
ネコは言いました。
「ひょっとして、あのみなさんのことですか?」
「そうだよ。ほら、おまえのようにしっぽがあるし、なんだかみんな元気いっぱいだし楽しそうじゃないか。どうだい、一緒に遊んだら。そうか、照れているね。私が話をしてきてあげよう」
「いや別に・・・」と言う間もなく、鳥は丘を飛び降り、リーダーらしい大きなイヌのところへ飛んで行き、なにやら話をしているようでした。
イヌがこっちを向いて胸をはって大声でネコを呼びました。
「いやぁー、コンニチハー。ようこそー。わたしたちはどんな方でも歓迎しますからねー」
とびきりニコニコしながら手を振って言われたものですからネコは思わず「はぁ。よろしく」と小さくつぶやいていました。
その様子を満足そうに見て鳥は帰って行きました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます