第5話 『怪盗コキア〜魚座の涙(仮称)』あらすじver.0.2

 ver0.1との違いは、ちょっと付け加えて、狙いも明確にしたくらいですね。

 まだ肝心の盗み方を考えていません。

 というより、前作のような倒叙ミステリーにしないので、どんな奪還法なのかも見どころになるからです。

 これがバレてしまうとまたお叱りを受けますので。

 まあ基本は同じですが、第一の事件なのでそれほど盛大にする必要もありませんからね。

 今のところ「第五の事件」がいちばん盛り上がる奪還法なので(プロジェクション・マッピングとスピーカーの組み合わせで錯覚を見せる)、そこまで派手にはならないと思います。

 でもそれなりに難易度も上げないといけませんからね。

 このあたりの加減が難しいですね。





『怪盗コキア〜魚座の涙(仮称)』あらすじver.0.2


コキア 義統よしむねしのぶ

父 義統よしむねすぐる

母 和泉川いずみかわ悦子えつこ

画商 宇喜多うきた忠勝ただかつ

現所有者 東海とうみ雪光ゆきみつ


「忍、なにしているの?」

 母のアトリエにある空いたキャンバスの前に座って、忍は黙々と木炭でデッサンを描いていた。誰が教えたでもなく、母・悦子の見様見真似だ。

 キャンバスを覗き込んだ母は、ひたすら驚くしかなかった。

 小学生低学年とは思えないほどデッサンはバランスがとれている。しかも当たり線は見当たらない。天性のバランス感覚を証明していた。

 母は嬉しくなって、忍が好きなアニメだけでなく、自分の描いた絵の模写を始めさせた。よいデッサンで描けていたらご褒美を出し、ダメならより良くなるまで同じ絵を何枚も描かせ続けた。

 母から褒められたい一心で、毎日何枚も模写してデッサン力を鍛えていく。そのうち、手本としている作品のデッサンの狂いを感じ取れるようになり、「完璧な模写」のほか「正しいデッサンの作品」も描けるようになった。

 そのことに気づいた母は、忍に専用の油絵の具を買ってやり、着色の能力も高めようと試みた。母にかまってほしかった忍は、教えられた絵の具の塗り方をスポンジのように吸収していく。そして絵の具の盛り具合や力の加減をさまざま変えて、どの角度からどう盛ればどういうタッチが可能になるのか。それを体に叩き込んでいく。

 悦子は自らが描いた写実主義の作品を手本として忍へ徹底的に模写を教え込んだ。写真のような精度で習得していく。すでにデッサン力は抜きん出ており、手本を参考に四苦八苦しながらも筆遣いやタッチを寸分違わず丸写しできるレベルにまで達したのは、わずかな期間しか要しなかった。


 小学生絵画コンクールで総理大臣賞を獲得し、中学ですでに写真のような精密な絵を描けるまでになった。しかし、欠点もあった。なにかを見ながらでなければ描けないのだ。想像上の絵はまったく描けない。画家としてはとても優れているが、クリエイターとしては失格もよいところだ。


 高校時代ではすでに母に匹敵する絵が描けたのだが、美術の授業では爪を隠すようにピカソやシャガール、ルーベンスやモネやダ・ヴィンチに至るまで、教科書に載っていた名画を片っ端から模写して楽しんでいた。おかげで美術の成績では最高ランクを逃しはしたものの、忍の画力の高さは学校内で知らぬ者はいなかった。

 画家とパトロンの息子が最高ランクを獲れなかったと知ったとき、父・傑は激昂したものの、忍の描いた模写の完成度を見て怒りを封じてしまった。

「この子は基礎のデッサン力が完成しているし、塗り色のカラーバランスも持ち合わせている。育てばきっと悦子以上に。いや世界を代表する画家になるはずだ」

 それからは著名画家の模写を叱ることはなくなり、父のコレクションから真似るのが難しいと判断された絵の模写を日課にするよう指導された。父・傑は学業よりも画家としての将来をたいせつにしようと考えたのだ。


 忍が社会人となって一年。画家であった母・悦子が病に倒れ、パトロンだった父・傑は、体育大学出身の高校体育教師である息子の忍に絵を描くよう要請する。高校時代の腕前を見込んでのことだった。

 しかし、父が自らの収入のために、忍の夢だった体育教師を奪うのかと反発する。

 しばらくして父は新たな画家を見つけてパトロン活動を再開したが、なかなか芽の出ない画家だったため高値では売れず、父はコレクションを少しずつ切り崩して生活をしていた。

 父は思い通りのパトロン活動ができないため、次第に酒に溺れるようになり、急速に体調を悪化させていった。

 噂を聞きつけたパトロン仲間の水田が忍を連れて父に会いに行くと、弱々しく「だいじょうぶだ」と告げられた。その言葉から、忍は父がもう長くないことを悟った。


 父からパトロンとして所有していたコレクションの整理を任されて、初めて父のコレクションの全貌を眺めたが、そこには忍の記憶にない母の名画が八枚所蔵されていた。(枚数変更)。

 生活が苦しいならこれを売ればよかったものを、なぜ単なる画家である母の作品を手放さなかったのか、理解に苦しんだ。

 父のパトロン活動を取り仕切っていた神父の水田は「これでもすでに十二枚は散逸しているんだ」と明かした。以前保管庫に盗賊団が入り、母の作品のうち十二星座を模した連作が盗まれたのだという。(「十二星座」は連作を予感させるので、惹きを意識しています)。

 水田は盗まれた絵の写真は残っているが、現物を奪われている以上、あまり意味はないと述べていた。

 盗まれた絵の写真を原寸大まで引き伸ばさせ、すべて憶えた忍は絵画展や美術蒐集家のコレクションなどへ足繁く通うようになる。そうしてたまたま盗まれた絵の一枚『魚座の涙』が、とある蒐集家の手に渡っていることを聞きつけた。さっそく接触して遠回しに入手経路を尋ねると、ある画商から買ったのだと明かされた。

 その画商の情報を水田に探らせると、どうやらその画商もしくは依頼した人物が保管庫から絵を盗んでいったらしいと判明した。

 水田に絵の返還を求められないか尋ねると、一度買ったものを潔く譲ってくれる客はまずいないとのことだった。そして、もし本物がもう一枚あれば。それにすり替えれば気づかれないのではないか。だが、元の絵が奪還されたのだとわからなければ、窃盗団の転売を阻止できない。

 そこで何者かが売却された「十二星座の連作」を奪い取っていることを、あえてマスコミや警察に流して窃盗団を牽制しようと話がまとまった。


 忍は持ち主にすべての事情を説明した。その絵は忍の母が描いた十二枚の連作のひとつであり、窃盗団はそれをまるごと盗んでいったこと。息子である忍自身が、盗まれたオリジナルを取り戻すのに手を貸して欲しいこと。

 話を聞いた現在の所有者は、まず忍が持ってきた贋作を見せてもらった。

 それは本物と寸分違わぬ出来栄えであり、所有者も「これであれば問題ない。君に協力しよう」と話がついた。

 まず本物を返してもらい、贋作を代わりに渡す。そしてその贋作を盗むとマスコミや警察にリークする。そして夜にマスコミや警察の目の前で贋作を奪い取り、朝に適当な場所へ返却した。

 たとえ贋作を奪い損ねても、すでに本物は手元にあるのだから、忍にとって不都合はない。また所有者も自らが見初めた作品と同等のものを手に入れたので満足する。

 結局この窃盗劇はまんまと奪い取られた警察と、売りつけた窃盗団だけが損をする図式なのだ。


 一枚だけでは偶然もありうる。しかし二枚、三枚と盗み返されれば、件の窃盗団と画商が慌てるはずである。

 そこを見越して、神父の水田は「新たな時代の怪盗像」を構築するよう提案した。

 父のパトロン名であり、母のサインにも使われた「コキア」にちなみ、「怪盗コキア」と称することに決めた。そして「コキア」は「深緋色」に色づき、古語では「深緋」を「こきあけ」と呼ぶため、「こきあけのコキア」として、身に着ける装束も「深緋色」に統一することにした。そして犯行現場に「深緋のコキア」のひと枝を残す。これで窃盗団にこちらの真意を突きつけ、迂闊な行動をとれないよう牽制するのだ。


 現所有者の意向により、美術保管庫へ絵を収蔵し、そこへ「怪盗コキア」が盗みに入る筋書きを立て、警察へと通報してもらった。

 しかし「無名の怪盗などという者に警備は回せない」との方針で、捜査三課のベテラン・浜松刑事と新人・駿河刑事のコンビを派遣した。

 すでに現所有者と奪い取る手口を取り決めており、あとはその筋書きに沿って盗み返せばよいだけだ。





 とまあ、輪郭は出来てきましたね。

 もう少しディテールを高めて、リアリティーもアップして、かつエンターテインメントに振る。

 完璧なリアリティーよりも、娯楽として楽しめる小説を書くのが私の道かなと考えましたので。

 逆にいえば、「リアリティーをアップ」させたらいつもでも文芸に寄せられるようにします。

 そのくらいの虚実度合いを目指してみようと思います。


 あと、本作はあくまで次回「カクヨムコン9」への弾なので、あらすじが完成したらしばらく寝かせます。

 近いのはスニーカー大賞・電撃大賞・ドラゴンノベルスですからね。

 「異世界ファンタジー」はハーレムものに初挑戦してみたいのですが、10万字程度だと四名くらいが関の山ってところかな。安定するのは三名ですね。

 二名だと単なる三角関係ですからね。ハーレムと言いたければ三名は必要。他にモブがいてもいいんですけどね。

 その中に本命がいれば好条件かな。

 今日はもう少し『怪盗コキア』を練って、明日以降から「異世界ファンタジー」ハーレムものと『天体観測部』を練ります。

 『探偵・地井玲香』はほぼ頭の中で出来上がっているので、こちらはあまり考えなくてもなんとかなりそうではあります。


 ということで夕食にしますね。




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