君は何があったのか知りたいのかね?
第12.5話 神々の会合
君は何があったのか知りたいのかね?
月の上で柳風斗が気を失った時に。
悪い事は言わない。知らない方がいい事もある。
そうでないなら次を見たまえ。親切にも次の回で人物紹介を用意してくれている。
別に興味ないなら第二章を待っていてくれ。
そんなに知りたいのかね?本当に?
じゃあ私から言う事はない。
そのままスクロールを行いたまえ。
見ないでいる事でも楽しめる事はあるとは言っておこう。
まぁ逆もまた
あぁ、一応言っておこう。ここであった事は六課の二人及び柳君は一切知らない。
これは彼らの物語だからね。神々の思惑なんて知らないのさ。
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「それは困るな、お嬢ちゃん。約束が守れないじゃないか」
その声は柳のポッケから聞こえた。
うずくまり頭を抱える柳のポッケから蠢く不定色の触手が飛び出し、姫に向かって勢い良く伸びていく。
それは難なく避けられ柳の前に降り立つ。
それが蠢き、足元から人の形が形成され始める。一秒も満たない内にそれはヤマダの形に完成した。
「今すぐそれをやめなさい」
地球を背にした姫に銃が向けられる。姫の表情は影になって見えない。
「姫サマ!」
「待って!」
月の瞳が姫を守ろうとして動くが制止させられる。
「わかった……」
そういうと同時に柳は糸が切れたように動かなくなり横に倒れる。
「死んでない。強くやったから気を失っただけ。それより約束って言ってたよね?お姉さん、フウトの何?」
姫から漂う雰囲気は能天気な少女を演じていたそれと違う。
「仕事仲間のヤマダ。そっちは新人クンの何?」
ヤマダと白痴の姫の間に張り詰めた緊張が走る。
「フフフ、何なんだろうね……ただこれだけでは言える。彼はボクのモノだ」
「いいや、誰のものでも無い。彼は彼のモノだ。君が力を使って好き放題するなら我々は容赦しないよ」
そう宣言するヤマダの顔には円を描くように五つ目のみが並んでいる。
鋭い眼光が姫を捉える。
「ここでやり合う気?」
「まさか、だが今彼に一番近いのは私だけど?」
「……」
白痴の姫とヤマダ。二柱の神は睨み合う。先に言葉を発したのはヤマダにだった。
「お嬢ちゃんは新人クンが欲しいんだよねー?」
「そうだよ……」
突然声色を変えて、いつもの道化の態度を取るヤマダに警戒する姫。
「一つ取引をしない?」
「取引?」
「お嬢ちゃんは新人クンを独占したい。私たちは仕事をしてくれないのは困る」
「私には未来が見える」
「それで?」
緩急を付けて喋るヤマダの思惑を聞き出そうとする姫。
「誰にも伝えてないけど近いうちにこの世界に大規模な侵攻がある。その時に手伝って欲しい」
この時、柳が起きていないのは幸運だったろう。それを六課に知られる危険は無い。
「……」
「そうなれば最悪、貴方も彼も、私もみんな殺される。向こう側との戦争が始まる。だからそれまで向こうからやって来る危険因子を狩らねばならない。その後、私は彼に何もしないと約束する。聞かれたら恋愛相談だってしてあげる」
「それ本当なの?」
「神に誓って」
「敵は?」
ヤマダの渾身のボケは殺された。
「平行世界の生き残った古き神話の神」
「少し考えさせて。」
「今決めて。時間はないの。こうしてる間に奴らの手先がやってくる。我々は味方がいない。だから新人クンも貴方も戦ってもらわないと勝ち目は無い。」
「それ程の相手なの?」
「新人クンの加護、あれって記憶や感情をいじるんでしょ。基本的には関わらないで。戦いの時は恐怖だけを忘れさせてあげて。じゃないと死んじゃう」
「……」
「…そうやって信頼させていけばいづれは新人クンの心も手に入るんじゃないの?見た感じ結構誠実な感じだし~?」
最後のその言葉はめんどくさそうに吐き捨てられた。
「わかった、けど一つ言っておく」
何が彼女の信頼を獲ったのかわからない。
「?」
「昔のフウトなら、戦いの時は一切恐怖を感じていない」
「そう…。なら今ここで神々の協定は結ばれた。汝とは盟約者、この契りは破られる事は無い。だが汝もそれを破る事なかれ。それを破棄することは汝の消滅を意味する」
ヤマダがそう言うと何処からともなく大きめの羊皮紙の巻物が煤と共に形成される。
「この巻物は絶対に持っていて。何かあれば天に掲げて。私が行く、盟約のため」
白痴の姫は気を抜けないだろう。これから起こる戦争、柳の記憶、自身の危機。
だがそれらは柳の死よりは軽い。
「じゃ、よろしくね!私もダーリンのこと死なせたくないからね!」
とことん食えない女であると姫は思う。
だがとことん使えるモノは使ってやると思った。自身の目的の為に。
「じゃ新人クンを起こして?」
それまでは無垢を演じる。
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