第2話 カナ 1
カナは腹が立っていた。
同棲していたタカシが突然出ていってしまったからだ。
少し前から突然「カナの体から変な匂いがする」と何度も指摘されるようになった。
どちらかといえば、元々体が弱かったのもあり潔癖気味なので全く心当たりもないのだが、普段使用している青りんごの香りのボディーソープとシャンプーをデオドラント製品に変えてみるも反応は変わらない。
「職場の人にも何も言われないけど?」
「思っても言えないだろ普通」
「あなたの鼻がおかしいってことはないの?」
「そう思って、耳鼻科に行ってきたけど何ともなかったんだよ」
「変な匂いってどんな臭い?」
「掃除の追いついてない動物病院の臭い?」
「なにそれ?」
カナは動物病院に行ったことが無いのでわからないが、悪臭であるというを理解し苛立つ。
そんなやり取り以降、お互いムキになり喧嘩に発展する事が増え、顔を合わさないように過ごすことが増えたある日。
廊下で寝落ちたのか、玄関を向いて横になっている状態で目がさめた。
「カナ……ごめん……ごめん……許して……」
「は?」
仕事から帰ってくるなりボロボロと泣きながら土下座するタカシの姿を見て、疑問しかわかなかった。
「ごめん……」
タカシはどこかに電話すると逃げるように玄関を飛び出して行った。
「は?なにアイツ?」
しばらくして怒りが湧いてきた、意味が分からなすぎた。
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