贈悪

炭原 るに

第1話 私 1

 仕事仲間の広瀬なかこさんが、亡くなっていたと夕礼で伝えられた時、悲しむものは多いが、驚く者はほとんどいなかった。

私もその一人だ。

死相というものだろうか……誰もがそう思うほどの顔色で動きも反応も鈍い状態でここ数日間出勤してきていた。上司が業務時間中でも構わないから病院に行くように言っても「なんともない」と言って行こうとしなかった。


 広瀬さんは、人当たりもよく仕事も出来るが、毎日のように結婚したら仕事を辞めたい会社来たくないと笑いながら愚痴っていた。そんな彼女が繁忙期でもないうえ、正当な理由で休める機会に、無理して職場に来ていたのは同棲中の彼氏にDVでもされてたんじゃないか、殺されたんじゃないかって不謹慎な噂がながれはじめた。


(え?ついこの間、彼氏さんに挨拶したときめっちゃ普通だったよ?むしろさわやかだったよ……あれは表の顔なのか?)


私は余計に混乱した。

強いて不審な点を言うならめっちゃ……臭かった

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