第8話 白銀の剣士


 一美がローズ騎士団に入団して4ヵ月がたった。

 一美は宇宙船内にいるローズ騎士団のメンバーに尋ねた。

「ところでドラゴンは銀河系ではどんな生き物なの?」

 ローズ騎士団のメンバーはズッコケた。

「え、いまさら聞くの?」

 他のメンバーが呆れる中、ゲインズは答えた。

「ドラゴンは爬虫類の一種の怪獣モンスターで、蛇やトカゲの仲間だよ。ドラゴンは変温動物で地域によるけど、基本的に寒さに弱いよ。ドラゴンは基本的に肉食で果実も食べるんだ。大型種は体長15m、体重は3400㎏、翼開長50m。獣戦士と同じく、常温超伝導器官のアシストで飛んでいるんだ。そして、空を飛ぶために進化したため、体の大きさに反して軽いんだ。力は強いんだけれども骨が空洞になっているんだ。大型恐竜にはパワーで負けるんでけどね。知能は高いんだけれども、サルなどの霊長類には及ばないんだ。ドラゴンは銀河系ではライオンのような存在だよ。ドラゴンにはさっき言った大型種、体長1.5m、体重15㎏、翼開長9mのスモールドラゴンがいるよ。スモールドラゴンが進化してドラゴ星人という種族が生まれたんだ。ちなみに怪獣はそれらに似た動植物と同じ生態。怪獣はそれに似た動植物が進化してできた種族なんだ」

「そうなんだ」一美は納得した。

 

 ビーッビーッとアラームが鳴った。

「桜市s地区の河川と椿市沿岸に怪獣出現」

「私とザディームさんとビリーさんは桜市s地区に、一美さんとゲインズさんは椿市にいってくださる?」

 騎士団のメンバーは頷いた。

「ローズ騎士団出動ですわ」

 ヴィヴィアン、ザディーム、ビリーは桜市s地区へ、一美とゲインズは椿市沿岸に向かった。


 桜市s地区の川には魚類のテトラ型の怪獣「テトラン」の群れが暴れていた。テトランの群れは二人に向かって高圧水流を放って攻撃し始める。

「行きますわよ」

 ヴィヴィアンは「ウォーターケイジ」と叫ぶ。すると、川の水が直径1mほどの球体となって空中に浮かび上がる。水の球体の中にはテトランの群れのみが閉じ込められていた。

「今ですわ」

 ザディームとビリーは球体めがけてファイアバレットを放つ。水の球体は2000度の炎で熱せられ爆発した。

「これで完了ですわ」

 ヴィヴィアンは一美とゲインズに連絡した。

「こちらヴィヴィアン、任務完了ですわ」


 椿市沿岸ではヒラメ型怪獣「フラウンダーン」の群れが暴れていた。

「一美ちゃんはここで待ってて」

「はい」

 ゲインズは海に潜る。そして、「メタルリファイン」と言う。海底の岩から1㎏の鉄の塊が出現する。

 その後、ゲインズは「ソードクリエイション」と言う。1㎏の鉄の塊が剣の形となる。ゲインズはそれを持った。

 フラウンダーンの群れがゲインズめがけて飛び出してくる。

 ゲインズはフラウンダーンの群れをバッサバッサと切り捨てていった。

 ゲインズは海から上がると、

「任務完了だよ」と笑った。


 怪獣駆除が終わって宇宙船内に戻った後、一美はトレーニングルームに向かった。

「すごい。私も強くならなくちゃ」

と思いながらバイク型トレーニングマシンのペダルを回した。

 トレーニングをしているとき、ゲインズはアドバイスした。

「一美ちゃんは火炎系だから水中戦にはめっぽう弱い。アームズは適材適所、自分に合ったところがあるよ」

「ありがとう」

 一美はゲインズのアドバイスを真摯に受け止めた。


 翌日、一美はいつものように学校へ行った。

 ちなみに一美の成績はローズ騎士団のおかげで上の中である。

 1年1組の教室では話で盛り上がっていた。

「昨日の『アナザースカイプリピュア』みた?」

「見た見た」

 『アナザースカイプリピュア』とは日曜日に放送されている女児向け戦闘美少女アニメ『プリピュアシリーズ』のひとつである。

『アナザースカイプリピュア』のあらすじはこうだ。

 太陽が丘中学に通う天野まなみは乙女座にある宙域「青空界」の女神「アストレア」にえらばれ、「ピュアウェザー」に変身できるようになる。

『アナザースカイプリピュア』にはピュアウェザーのほかに「ピュアクラウディア」と「ピュアアストラル」の2人のプリピュアがおり、手足やサークレットから放つ「プリピュアソーラーファイア」「プリピュアレインウォーター」「プリピュアサンダーサンダー」「プリピュアリーフストーム」「プリピュアライトビーム」「プリピュアスノウアイス」「プリピュアサンドストーム」の7つの共通技があり、飛行能力とサークレットから立体映像を投影する能力を持つ。

 彼女たちは青空界の人々と地球の人々の負の感情が具現化してできた異星の魔物「ドヨン軍」の魔の手から地球と青空界の平和を守っている。

 OPとEDの曲構成は頭サビ→間奏→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→2Aメロ→2Bメロ→サビ→間奏2→サビとなっている。

 一美も毎週見ている。


 キーンコーンカーンコーンとベルが鳴った。

「はーい、朝のホームルームを始めるわよ」

 1年1組の担任教師秋原啓子が教室に入ってきた。

 生徒たちは大人しく自分の席に座った。

「それでは出席とるわよ。出席番号1番、相川麻衣子さん」

「はい」

「出席番号2番、青木康介さん」

「はい」

「出席番号3番、赤坂一美さん」

「はい」

「出席番号4番、足立真奈さん」

「はい」

 それからいって

「出席番号35番、渡ちひろさん」

「はい」


 朝のホームルームから時間がたち、昼休み。

「何もやることがないな。そうだ」

 一美はAに変身して学校近くをパトロールに行った。

 ちなみに中学生の一美は学業優先で騎士としての仕事は、基本的に夜か土曜日曜に限られている。休暇もありだ。

 一美がパトロールしていると、空から円盤型の宇宙船が現れた。宇宙船が着地すると同時に中からサイ型怪獣「ライノゴン」の群れが現れた。

 ライノゴンは口から火を吐きながら暴れ始めた。

 一美はライノゴンの駆除に向かった。

 「待って」

 一美は額からファイアバレット、ウォーターバレット、エレクトリックバレットを放つ。三種類のアームズがライノゴンの群れにヒットした。

 一美はとどめにファイアライフルでライノゴンの群れを焼き払った。


 怪獣駆除が終わった一美は学校へ戻る途中、メガネをかけた地球人態のゲインズを見かけた。

 ゲインズは2mありそうな屈強な男と話していた。

「テトランとフラウンダーンを送り込んだのは君だね」

「だったらどうする?」

 男の右手と額に紫色の紋章が浮かび上がった。

「呪獣だ」

 一美はゲインズのもとへ飛んできた。

「大丈夫だよ。一美ちゃんは見てて」

 ゲインズはメガネを外すと同時に戦闘形態となった。

「実験開始だ。」

「ほう、騎士だったか。それなら殺しがいがある」

 男の姿が4つの目、両耳にはヘッドホンのようなモジュールをつけたメカニカルなサイの獣人の姿をした呪獣、エラスモ星人クロスYに変わった。

「その姿は機械族の呪獣だね」

 クロスYは

「こい、ヘビーランス」

と言うと量子転送装置のスイッチを入れる。

 ズンという音とともに50㎏はありそうな突撃槍が転送されてきた。

ゲインズは「土の中には重量にして4.1%イコール0.041ppmの鉄が含まれている。メタルリファイン」

と言いながら手を地面にかざす。

 すると、地面から1㎏の鉄の塊が出現した。

 ゲインズは「ソードクリエイション」と言うとみるみるうちに鉄の塊の形が変わり、剣になった。

 メタルリファインは質量保存の法則に従う。

 質量保存の法則とは、氷が水になり水が水蒸気になるように物質の形や性質、体積が変わっても質量だけは変わらないという法則だ。

 質量とは原子のパーツの基本的な量である。原子のパーツをどのように組み替えても原子の量が変わらないのと同じである。

「オラぁ」

 クロスYはヘビーランスを突き出す。

 ゲインズは上体を反らすことで難なく攻撃をかわす。

 クロスYは槍についているトリガーを引く。すると、槍から120kWライトライフルが発射された。

 ゲインズはこれも左右に動きながら回避する。

「こうなったら、パワフルボディ」

 クロスYはそう叫ぶと、白いオーラのようなものに包まれる。

 クロスYはさっきよりも比べ物にならないくらいのスピードで槍を振り回した。

「速いね。でも」

 ゲインズは高速で動きながら確実にかわしていった。

「こなくそぉ」

 クロスYが高速でヘビーランスを突き出す。

 ゲインズは左に動いてヘビーランスをかわす。

 するとヘビーランスが地面にめり込んだ。

 それと同時にクロスYの動きが一瞬止まった。

 ゲインズはクロスYの角をつかみ「アナライズ」と言う。

 すると、角が崩れ毛がぱぁぁと広がった。

「何しやがる」

「サイの角は毛が固まったもの」

 激高するクロスYをしり目にゲインズは一美に説明した。

「とどめと行こうか」

 ゲインズはクロスYを切りつける。

 重い斬撃がクロスYの右肩から左腰にかけてヒットした。

「ぐわらば」

 クロスYはうつぶせに倒れた後、絶命、爆散した。

「これにて任務完了」

「すごい」

一美はゲインズのすごさを改めて実感した


 クロスY戦後、一美は学校へ戻った。

 ゲインズはそれを笑顔で見送った。

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