第366話 (´・ω・`)?
──テレッテー!
今!? それ、今にぶっ込んでくる?!
──二万七千匹突破! 最速駆除数五位に上昇だ! イェーイ!
イェーイ! じゃねーよ! 二万七千匹も駆除して五位? 最長五年しか生きてないのにもっと倒しているのがいるのかよ! どんなバケモノだよ?! そんなバケモノでも五年しか生きられないとか、なにがあったのよ!! そこんとこ詳しく教えてっ!
──マイセンズでの駆除はこれからが本番だ! 気を引き締めていきまっしょい!
はぁ? マイセンズ? 森の名前じゃなく、ここの名前だったのかよ!!
──ここは、前文明最後の地下都市、マイセンズ。今いるエルフはここから抜け出した前文明を支配していた種族です。他にも地下都市はありますが、形として残っているのはマイセンズだけ。オートマップに印をつけておきました。気が向いたら向かってみてくだい。極僅かですが、タカトさんの力となるものが残っていますから。
オレの力となるもの?
──では、最後の最後まで気を抜かず、マイセンズにいるゴブリンを駆除してください。ちなみに約一万六千匹が巣くってまーす。
い、一万六千匹っ!? そんなにいんのかよ!! 二十数人で相手する数じゃないよね?! ロースランやバッフまでいんのによ! あと本番? オレはもう折り返しだと思ってたよ! これまでのはなんだったんだよ!
──(´・ω・`)?
準備運動? じゃねーわ! 消えろやボケが! あと、顔文字で語りかけてくんなや! 死ね!
「タカト、どうした?」
アルズライズがなにか言ってくるが、今のオレはブチ切れ五秒前。マルチシールドを解いてバッフに向けて銃弾を撃ち込んでやった。
「クソが! クソがクソがクソがクソが!」
弾が切れたらグロックを抜いてまた全弾撃ち込んでやり、最後に思いっきり床に叩きつけてやった。
フーフーと息を吐き、残った怒りを必死に静めた。
「す、すまない。とんでもないことを聞かされて我を忘れてしまったよ」
あれを聞いて我を保てるヤツがいるんならオレの相談相手になってください。そして、愚痴を聞いてくださいよぉ……。
「女神様か? なんて?」
ここがエルフの地であり真のマイセンズであることを語り、ゴブリンが一万六千匹いることを語った。
「……ここがエルフの間で語り継がれていた聖なる地か。地上の森がマイセンズだと思っていたよ……」
エルフであるミシニーですらそう思っていたんだから、オレが勘違いしてたって責められないはずだ。
「あと、地下になにかあるらしい。ロースランも気になるが、そちらも気になる。構わないか?」
「おれは構わない。タカトについていく」
「わたしもだ。地の底まで付き合うよ」
二人の言葉に残っていた怒りも霧散してしまった。神には恵まれないが、この世界で頼もしい仲間を得られたよ……。
「……助かる……」
バン! と二人が交互に背中(リュックサック)を叩いた。
「そんな言葉はいらん。地下のどこにあるのかわかるのか?」
「その前にあちらを片付けるぞ」
ミシニーが見る方向に目を向けたらバッフがいた。あれで死ななかったのかよ!
「二人は援護を頼む」
「わかった。気をつけろよ」
投げ捨てたグロックを拾い、タボール7のマガジンを交換。壁際に移動して銃口をバッフに向けた。
アルズライズも反対の壁に寄り、SCAR−Hを構えて援護体勢を取った。
堂々とバッフに近づいていくミシニー。その両手に紅蓮の炎を生み出した。
……あ、あれはヤバいヤツだ……。
すぐにアルズライズのほうに移動してマルチシールドを拡大して構え、アルズライズも危険と感じたようでオレの背後に隠れた。
紅蓮の炎が膨れ上がり、両手を前に突き出した。
そのまま見ていたいが、ヤバい感じも膨れ上がっている。拡大させたマルチシールドを身を隠すように覆わせた。
その瞬間、熱風が襲ってきた。
あっち! 熱っ! ヒートソードの熱をまともに受けたような熱さだぞ!
熱風に堪え、なんとか収まると、マルチシールドをコンコンと叩かれた。
「終わったぞ」
マルチシールドを元に戻すと、不敵な笑みを浮かべるミシニーがいた。
「……よ、よく死ななかったな……?」
「自分の魔法で自分が傷つくことはないよ」
「こちらは死にそうになったがな。お前はもっと自分の力を把握しろ。だから死滅の魔女とか悪評が立つんだ」
呆れ果てるアルズライズ。まったくだよ。
「死滅の魔女、大いに結構。それを広めてくれる仲間がいるんだからな」
アルズライズと目が合い、同時にハァーとため息を吐いた。
「まったく、広範囲殲滅兵器め」
「アハハ! それもいい二つ名だ!」
なにか開けちゃならない扉を開いてしまったようだ。
「もういいよ。魔石まで燃やしたのか?」
確か、土魔法を使うのにいい魔石だったよな。
「ちゃんと手加減したさ」
あれでか? マルチシールドがなかったら確実にダメ女神の下に召されていたぞ。それならそれで殴りかかっているけど。
炭と化したバッフの元にいき、風の魔法で切り刻み、土の魔石が床に落ちた。
「こいつも濃いんだな」
ソフトボールくらいあり、焦げ茶色していた。
「もしかすると百年は生きたバッフかもな」
「そんなに長生きするんだ」
どうなってんだ、この世界の生き物は? ダメ女神、ちゃんと人間を一万年生かす気、あんのか?
「これはタカトが使え。大きな街なら高く売れるはずだ」
「ミシニーが使えよ」
ゴーレムとか戦いに使えるだろうに。
「魔石にも使いやすい大きさってのがあるんだよ。こんな大きいと持ち歩くのが面倒だ」
そういうものか。まあ、ミシニーの魔力量なら魔石なんて持たなくても充分間に合うか。あれだけのことをして息切れすら起きてないんだから。
リュックサックを降ろし、魔石を入れたらオートマップを出した。
オートマップを起動させると、なにか赤い線が走っていた。
「ナビか?」
縮小させると、赤い線は階段に向かっていた。てか、そんな機能あったんだ。それとも追加したのか? まあ、なんでもいい。これなら迷わずいけそうだ。
「先頭はオレがやる。アルズライズは援護。ミシニーは殿を頼む」
二人が頷き、ナビに従って地下に向かった。
──────────────
また今日からよろしくです!
マイセンズが終われば休息編、海編、もう一人との邂逅編、ドワーフ救出編? あとは考えてないや。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます