第367話 地下倉庫
「クソ。どこまで下りなくちゃなんねーんだよ」
もう四十分は階段を下りているぞ。また戻るときに四十分もかけなくちゃならないとか、オレはなんの特訓を受けているんだ? ダメ女神の言葉に従うんじゃなかったよ!
とは言え、ここまできて戻るのも愚行。諦めて下りろ、だ。ハァー。
やっとこさナビが示す階にきた。んで、あっちか。
長い通路を進み、なにかシャッターが並ぶところに出た。倉庫か?
ナビはその一つのシャッターを示しており、その前にいくと非常用扉的なものが開いていた。
ダメ女神が開けたのかわからないが、念のため非常用扉が閉まらないよう扉止めをし、まずはアルズライズに突入してもらった。
「大丈夫だ。なにもいない」
ミシニーに残ってもらい、オレも中に入った。
中は物流倉庫のような造りで、四段のパレットラックが並んでいた。
……エルフの進化でもパレットって生まれるんだな……。
ホームからマキタのタワーライトを運んできて倉庫の中を照らした。
「アルズライズ。念のため隅々まで調べてくれ。ミシニーはそこで見張りを頼む。扉は絶対閉まらないようにしてくれ」
万が一を考えて金テコバールを取り寄せてミシニーに渡した。
アルズライズが調べている間に近くのラックに積み上げられた灰色のコンテナボックスを一つ、取り出した。
「重いな」
二十キロはあるか? なにが入っているんだ?
材質不明のコンテナボックスは簡単な造りで、四つの留め具で閉まっているだけ。なにか風化しない未来的コーティングされているのか?
留め具を外し、慎重に蓋を開けた。ドカーンといかないでね。
これと言ったギミックはなく、なにか危険なガスが出ることもない。大丈夫と判断して蓋を完全に外した。
「……ライフル……?」
なにか透明なビニールに包まれたライフルっぽいものが五丁、入っていた。
とりあえず、一つを取り出してみる。
形はなんとなくタボールに似ているか? カービンのように短く、七十センチあるかないかだ。
マガジンを差すところはないが、ストックの下になにか脱着できる爪があり、未来感のある造りだ。
「レーザーとか撃っちゃうヤツか?」
いや、銃口は穴が開いてる。なにかを飛び出させる造りだ。サイトはついてないが、レーザーポインター? レーザーサイト? っぽいのが銃口の上についていた。
「銃口の下の穴はなんだ?」
えんぴつがすこんと入りそうな六角形の穴だ。いや、なんか差すにしては浅いな? なんなんだ?
同じラックにあるコンテナボックスを開けるが、やはり同じアサルトだ。
「ここにあるだけで二百丁あるかないかだな」
同じ灰色のコンテナボックスが積まれたものは数十ヶ所。他のラックには緑色、青色、黄色のコンテナボックスがラックに入っていた。
取りやすい場所にある黄色のコンテナボックスを開けると、ケースが八個入っていた。
一つ抜いて開けると、警棒? らしきものが八本入っていた。
「伸縮するヤツか」
一つ取り出して伸ばしてみる。
五段階に伸び、四十センチくらいになった。護身用か?
次は青色のコンテナボックス──重っ! 三十キロはあるんじゃないか?
中にはバッテリーらしきものが入っていた。あ、これか。ライフルに取りつけるの。
一段六十個。感じからして四段。二百四十個も入っており、一つのラックに百ケースは入っている感じだ。
「なんらかのエネルギーが充填されているなら当分困ることはないな」
まあ、それも試してからだな。
次は緑色のコンテナボックスか。なんでしゃろかいな?
「……サングラス? いや、サイクロプスサングラスって言ったっけか……?」
おしゃれアイテムには詳しくないが、工場で自転車通勤のヤツがサイクロプスサングラをしてたっけ。
「ケースにボタン電池的なものがあるところを見ると、なにか便利機能搭載っぽいな」
他のケースも開けてみると、赤、青、黄、紫、オレンジと色彩り取り。昔のエルフはお洒落さんだったのか?
「これもいっぱいあるな」
さすがに全部は運び出せないか。やってたら一日どころか数日はかかりそうだ。
「タカト。なにか隠れている様子はない」
「了解。ここにあるものをホームに運ぶ。手伝ってくれ」
フォークリフトでいっきに、とやりたいが、そのために三、四百万円もするもの買ってられない。買ったあとの使い道もないしな。
「ホームからパイオニアを持ってくる。灰色のと青色のをここに集めておいてくれ」
場所を教え、パイオニアとトレーラーを出すために少し離れてからホームに入り、四号にトレーラーをつけて外に出た。
空パレットを見つけてきてトレーラーに載せ、そこにアサルトとバッテリーのコンテナボックスを積んでいき、余った場所とパイオニアの積載部にも載せた。
「ホームで降ろしてくるから交代で休んでてくれ」
天井クレーンをつけといてよかった。あれなら楽に降ろせるよ。
「もっと集めておくか?」
「ああ。頼む。あと、黄色と緑のもいくつか集めてくれ。たぶん、一時間くらいかかるから急がなくていいぞ。今日はここに泊まるからな」
さすがに運び終わったら上に、はキツい。一晩休んでからじゃないとあの階段は昇れんよ。
「ミシニーも頼むな」
「ああ。こちらは任せろ」
じゃあと、パイオニアに乗り込み、ホームに入った。
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