第277話 支部

 買い物の前にガチャ三連。四十パーセントオフ(三十枚)とヒートソード、そして、回復薬(百粒)だった。


「やはり回復薬はよく出るヤツか」


 当たりらしい当たりはないが、外れらしい外れもない。まあ、あったら便利かな? くらいのものだった。


「回復薬、請負員にも持たせるか」


 安全第一、命大事に動いているから大きな怪我してないし、多少の切り傷ならミリエルが治してくれる。今のところ病気らしい病気もしていない。万が一の備えとして三粒くらい持たせてもいいかもしれんな。また出そうだし。


 ヒートソードはオレが持つか。これ、意外と丈夫で刃こぼれしないんだよな。どんな金属を使ってんだろうな?


「ミサロ。これはお前に渡しておくよ。自由に使ってくれ」


 四十パーオフのシールをミサロに渡した。なんか微妙な割引なんでな。


「いいの?」


「構わないよ。必要なものは今日中に買ってしまうから」


 予算追加で六百九十万円になった。主要なものは大体買えるはずだ。


「わかった。欲しい家電を買わせてもらうわ」


「そのシールはホームの拡張にも使える。置く場所が足りなくなったら百万円までは使っていいぞ。ただ、この先なにかあるっぽいから五百万円は残しておいてくれな」


「了解。無駄遣いはしないわ」


 よろしく頼むと返し、玄関に向かった。


 まずは屋根、フロントガードがついたパイオニアを二台買い、ガレージ一階の奥に移動させた。


「もうちょっと奥行きが欲しいな」


 トレーラーを繋いだまま置きたい。今回はMINIMIを諦めてガレージを拡張をするか。薄い棚も置けるしな。ってことで百万円使って一階部分を三メートルくらい拡張した。


 残り四百九十万円。


 VHS−2を五丁。SCAR−LとHを二丁ずつ。P90を五丁。ベネリM4を五丁。グロック17、19を五丁ずつ。スコーピオン五丁。サプレッサー、サイト、スコープ、マガジン各種を買って残り百十万六千円。


「なんとかRPG−7が買えるな」


 RPG−7もピンキリだが、安全を考えて元値十二万円の発射器を三基買い、弾頭は買えるだけ買ったら六十八発。火気厳禁を徹底させないとな。


「二十発くらいにしてプレートキャリアを買えばよかったかな?」


 なに気にプレートキャリアやチェストリグは汗や泥で汚れて洗うのが大変なんだよね~。


「てか、ガレージ二階で買えばよかった」


 まだ簡単にしかレイアウトを決めてないから一階で買ってしまったが、この量を見ると後悔しか湧いてこないよ。


「……片付けだけで二日くらいかかりそうだな……」


 十八時まであと四時間。仮眠しないと夜中を乗り越えられない。片付けは町に入ってからにしようっと。


 中央ルームに戻り、軽くシャワーを浴びてマットレスへダイブ。ミサロに三時間後に起こしてくれとお願いしたら意識が途絶。揺らされて起きたら十七時を回っていた。


 ちょっと頭痛がするが、温かい力が流れてきて目が覚めた。


「……ミリエルか。ありがとな。眠気が消えてくれたよ」


 少しばかり体はダルいが、頭痛は消えてくれた。外に出たらチートタイムをスタートさせて体を復活させよう。


「疲れているのならもっと眠ったほうがいいですよ?」


「いや、十八時から見張りだからな。終わったらゆっくり眠るとするよ。それより、そっちはどうだ?」


 置いていたペットボトルに手を伸ばして水を飲んだ。フー。


「伯爵夫人の回復でアシッカ伯爵に感謝されました。雰囲気からわたしたちを受け入れてくれたと思います。ただ、食料不足で町は荒んでますね」


「じゃあ、炊き出しをするか。シチュールーなら安いし、巨人パンを出せば町の者の不安も少しは消えるだろうよ」


 一度作ったことあるが、シチュールーだけでもなかなか美味い。具なしが侘しいなら冷凍コーンでも入れたら少しは見映えがよくなるはずだ。


「ミサロ。シチュールーと冷凍コーンを大量に買っておいてくれ。あと、巨人パンを大量にホームに運んでおいてくれな」


 アポートウォッチをミリエルに渡す。これなら大きさに関係なく取り寄せられるからな。


「明日は休んで、明後日から職員たち二人くらい送り込む。どこか空家を探しておいてくれないか。ゴブリン駆除ギルドの支部にするから」


「支部ですか?」


「ああ。冬の間の休息地とする。休むなら雨風が防げるところで休みたいだろうからな。あ、金はいくら使っても構わないぞ。こんなときしか使えないからな」


 アシッカ伯爵領に金を落とせば町の者も受け入れてくれるだろうよ。


「わかりました。伯爵に相談して空家を見つけます」


「あ、伯爵に酒でも送っておいてくれ。数日したらオレもお邪魔させてもらうってな」


 手土産は大事。ブランデーでも送っておこう。確か、レミーマルタンを買っていたはず。誰も飲まないからプレゼント用に致しましょう。


「わかりました。無理しないでくださいね」


「ああ、無理しないよ。アルズライズには門から離れた場所に引きつけて、可能な限り間引きするように伝えておいてくれ」


 アルズライズなら喜んでやってくれるだろうよ。


 今回はヒートソード装備にしてから外に出た。


「タカト!」


 オレに真っ先に気がついたビシャが駆け寄ってきた。


「ご苦労様な。風呂に入って休んでいいぞ」


「大丈夫。ミロルドがタカトの護衛にと先に休ませてくれたから。朝まで起きてられるよ」


 領主代理からなにか言われたかな?


「そうか。じゃあ、二人で哨戒に出るぞ」


「うん!」


 なにが嬉しいのか尻尾をフリフリするビシャ。猫派だけど、ちょっとその尻尾をモフモフしたい。


「ロズ。中は頼むぞ」


 起きていたロズに声をかけ、ビシャと一緒に簡易砦を出た。

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