第276話 予算追加
──パンパカパーン!
ん? パンパカパーン? なんだ?
──二万匹突破しましたー! おめでとうございまーす。二万匹を記念して七十パーセントオフから八十パーセントオフに変更しちゃいまーす。破産しないよう買い物をお楽しみくださいね~!
それはありがたいが、まだ十一時半だぞ? もう千匹を倒したって言うのか? どんだけがんばってんだよ?
なんだか嫌な予感がしたのでホームに入り、マガジン六本詰められるチェストリグと刃渡りのある丈夫なマチェットを装備して外に出た。
森の中を駆け、職員たちの気配に向かうと、やはり囲まれていた。
「まったく、ほどほどってことを知らんのかね?」
しょうがないとチートタイムスタート。途中の川で水を集め、職員たちに当たらないようウォータージェット薙ぎ払い攻撃。百五十匹くらい薙ぎ払ってやった。
一旦停止。VHS−2を単発撃ちにして少しずつ削っていき、職員たちと合流した。
「ゼイス! 弾の補給をしろ!」
VHS−2からマチェットに切り換え、チートタイムスタート。右回りにゴブリンどもを斬り裂いていき、四周してマチェットが折れてしまったのでストップした。
ざっと三百匹か。結構いいマチェットを買ったのにそれでもチートタイムには耐えられないとは。やはり金テコバールを使うしかないんだろうか?
折れたマチェットを投げ捨て、マガジンを取り寄せて補給。ゴブリンが集まる前に撃ち殺していった。
もったいないがマガジンは廃棄。今は一匹でも多くゴブリンを駆除するのが最優先だ。
さすがに六百発も連続で撃っているとバレルから煙が出てきたのでこれも廃棄した。
サプレッサーやドットサイトがついてたら躊躇うところだが、周りすべてゴブリンと言う状況ではないほうが扱いやすい。それに、VHS−2単品なら十七万円もせず、八十パーオフならグロックを買うより安くなる。十匹も駆除したら余裕で買えるのだから惜しむな、だ!
「ビシャ! 先行して道を切り開け!」
「わかった!」
処理肉をばら撒きながら撤退。なんとか森に入る手前でゴブリンどもを振り払うことができた。
「ゼイスたちは先にいけ! 周囲の警戒を怠るなよ!」
先にいかせ、オレは木に登ってサプレッサーとドットサイトがついたVHS−2を取り寄せ、処理肉に群がるゴブリンどもを狙撃していった。
充分足止めしたら木から下り、スモークグレネードを取り寄せながら周囲に放り投げて簡易砦に向かった。
何度か方向を変え、スモークグレネードをばら撒き、やっとのことで簡易砦に到着できた。フゥー。
「今日はもう簡易砦から出るの禁止だ。大人しくしていろ」
「……マスター、すみませんでした……」
「ゴブリン駆除ギルドは安全第一、命大事にだ。今回の失敗は次で取り返せ」
人は失敗するもの。オレも何度失敗したことか。それでもマスターとして言わなきゃならない。まったく、上に立つって面倒だよ……。
「交代で汗を流せ。夜はオレが見張りに立つから酒でも飲め。ビシャとミロルドは見張りに立て」
おそらくこの二人が動いたから職員たちも動いたのだろう。
「……タカト、ごめんなさい……」
「すまない。わたしが言い出した」
このハーフエルフ、見た目はピシッとしてんのに中身は好戦的だな。さすが領主代理の副官だよ。
「だから見張りに立って反省しろ。十八時には交代するから」
ビシャの頭をわしわししてホームに入ると、ラダリオンがいた。
「タカト。あたしらダイン男爵領に着いた」
「そうか。今日はダイン男爵領に泊まるのか?」
急げばコラウスまで帰れると思うが。
「じーちゃんは大きいものを買いたいからってバイクで先に帰った。あたしらは宿に泊まる」
大きいもの? なにを買おうとしてんだ、カインゼルさんは?
「こちらはゴブリンが増えていて、町に入るにはまだ時間がかかりそうだ。ミリエルは夜にくるだろうからミサロと話を聞いておいてくれ。オレは夜に見張りに立つんでな」
「わかった。あと、ミシニーとシエイラの買ったものを玄関に置いておくから」
ミシニーは酒だろうが、シエイラはなにを買ったんだ? ってまあ、女の持ち物を勘繰ってもいいことはないか。軽く流しておこう。
「ラダリオンは買いたいものはないのか?」
「ない。あたしは毎日美味しいものが食べられたら幸せだから」
量から質に変わったラダリオン。これはこれで金がかかる状況である。
「そうか。あ、冷蔵庫を移動したいから手伝ってくれ」
今のうちにやっておこう。ミサロがお願いしたそうにこちらを見てるからな。
ほとんどラダリオンの力で冷蔵庫を移動し、空いた場所に新たな家庭用冷蔵庫を買って置いた。今まで使ってた冷蔵庫はミサロの管理下に置かれてしまったので。
「SCAR−Lを新調するから古いのは処分していいからな」
ラダリオンが愛用しているSCAR−Lも結構使っている。予算が増えたから新調するとしよう。
「まだ撃てるよ」
「いざってとき動かないと困るからな。早目に交換しておくんだよ。愛着があるなら残してていいが、新しいのとわけておけよ」
そう言えば、結構大事に使ってたっけ。物に愛着を持つタイプか?
「うん、わかった。古いのは館の部屋に飾っておく」
好きにしたらいいと、買い物の続きをするために玄関に向かった。
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