第267話 ガチャ七連

 今日は休みと決めたので、朝飯を済ませたらオレはホームでガチャをやることにした。


「シエイラ。ゆっくりしていろな。温かくしてろよ。酒も少しなら飲んでいいから」


「マスターはわたしの母親ですか?」


 一応、お前の上司だよ。


「ラダリオン。なにかあれば呼びにきてくれな」


「わかった」


 食べる量は激減しても食べることは大好きなラダリオン。たくさんの菓子を広げて休息を満喫しているよ。


 ホームに入ると、ミサロがたこ焼きを製造していた。


 ……こいつは、どんな基準で極めんとしているんだろうな……?


「ミリエルから連絡は?」


「三十六番目の指標を越えたそうよ」


 ここまでくるまで指標となるものを立てきて、三十六番目は一日前の距離だ。どんだけ強行軍してるんだか。下手したら今日の夜には合流しそうな勢いだな。


 皿に盛られたたこ焼きを持って中央ルームに移り、タブレットをつかんだ。


 女神ガチャのアプリを開き、さっさとガチャ開始。ダメ女神の声など右から左にさようなら~。ハイ、ガラガラポンポン。


 一つ目は回復薬中。って、回復薬に大中小があるんかい!


 二つ目は回復薬中。さっそくダブりかい!


 三つ目はマルチシールド。まあ、当たりっぽいな。


 四つ目は暗視、熱探知メガネ。これはダブりでもよし。


 五つ目はアポートポーチ。これもダブりでもよし。


 六つ目はセフティーホーム連動型水筒。一リットル一円。なんじゃこりゃ?


 七つ目はオートマップ。スーパーレアが出たぁぁっ!


「一番欲しかった地図。しかもサーチアイと連動できるものじゃん。あるんなら早く出せよな!」


 サーチアイ(ドローン)を使う暇なかったが、オートマップと連動できるなら積極的に使うしかないじゃない!


 タブレット型のオートマップを起動。上から見た中央ルームが写し出された。


「ゲームのマップみたいだな」


 どんな理屈で動いているかなど考えるだけ無駄なので、あるがままを受け入れることにする。


 タブレットに搭載されたカメラ的なもので中央ルームを写すと、デフォルトだった地図が航空写真に切り替わった。


「グーグルな地図っぽいな」


 ストリートビューみたいな機能もある。あのダメ女神はパクり魔か? まあ、性能はこちらのほうが優秀だけどさ。


 サーチアイも出してきてオートマップと連動させると、オートマップでもサーチアイが動かせた。


「使い方を頭に入れてくれてるのはありがたいな」


 まあ、使い方を知っているからと言って超一流の使い方ができるとは限らない。今は説明書を読まなくても知っているていど。使わなきゃ腕は上がらないか。


「つーか、オレだけ持っていても他と共有できなきゃ限定的な使い方しかできんか~」


 それに、その場にいかなきゃ地図は製作されない。最初からこの世界の地図を寄越して欲しかったぜ。


「まあ、ないよりはマシとして使うしかないか」


 外に出て使おうとしたらミリエルが中央ルームに入ってきた。


「タカトさん。四十番目まで到着しました」


「随分と強行軍してるな? 疲れてないか?」


「細い道はアルズライズさんに担いでもらってるので大丈夫です」


 それはまたアルズライズに迷惑かけてるな。あとで有名店のケーキでもお礼に出しておこう。


「じゃあ、夜には到着するな。気配は感じ取れてるか?」


 四十番なら約二十キロってくらいだ。アルズライズや獣人姉妹の脚なら近距離だろう。


「ドワーフたちはどうだ?」


 あの脚の長さでついていくのは大変じゃないか?


「わたしたちは先行してマッシュさんたちはゆっくり向かってもらってます」


 ダメ女神のアナウンスを聞いて逸ったな。アルズライズ辺りが。


「そうか。オレたちは今日は休息している。無理に急がず、明日の朝から駆除できる態勢を調えておけよ」


「アルズライズさんやビジャたちは夜中にでも襲いかかりそうな勢いです」


 あの三人、紫の魔石(力が出るヤツ)でも体内にあるんじゃないか? 疲れ知らずにもほどがあるだろう。


「それならこれを渡しておくよ」


 アポートポーチとメガネをミリエルに渡した。


 最初のアポートポーチはラダリオンに持たせてあり、メガネはビジャに持たせてある。


「メガネはミリエル。アポートポーチはアルズライズに持たせるといいだろう」


 アルズライズの顔だとメガネがかけられるかわからんし、金印なら暗闇でも問題なく動ける。なら、アポートポーチを持たせたほうが喜ばれるだろうよ。


「ミリエルは無理するな。まだマイセンズに到着もしてないんだから」


「町を囲んでいるゴブリンとは違うんですか?」


「どうも違うっぽい。ここは、アルズライズたちに譲ってやれ。まあ、三千四百匹はいるそうだし、漏らしたものは眠らせて殺したらいいがな」


 さすがに三人で全滅させるのは無理だ。精々、五百匹がやっとだろう。


「わかりました」


「まあ、駆除が始まったら応援にいく。無理と感じたらホームに戻れよ。まだ移動で疲れているんだから」


「大丈夫ですよ。これでも毎日鍛えているんですから」


 あまり言うと「母親か!」とか突っ込まれそうなので止めておく。


「では、戻ります」


「ああ。気をつけるんだぞ」


 玄関までいって見送り、外に出たらオレも山盛りのたこ焼きを持って外に出た。ビールはあとで取り寄せます。

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