第195話 ゴブリンの生け捕り

 数が少ないからとわざと狂乱化(って命名します)するのは危険でした!


「ミリエル、ホームからMP9を持ってこい!」


 オレはMINIMIを取り寄せ、上流から集まってくるゴブリンにぶっ放した。


「はい──」


 すぐにホームに戻り、MP9を持ってきて川向こうのゴブリンを撃っていく。


 二百発を撃ち尽くし、グロックに持ち換えて何発か残してゴブリンの狂乱が終わってくれた。フー。危なかった~。


 なんて安心するのはあと。すぐにVHS−2を取り寄せる。


「ミリエル。空のマガジンを集めてホームに運べ。あと、P90装備に着替えてこい」


 念のためと、ミリエル用にP90と416装備を用意しておいてよかった。備えあれば憂いなし。先人の知恵に従って正解だったわ。


「タカト、終わったぞ」


「ああ。念のために死んでるゴブリンを焼いてくれ。生きてるのはそのままで頼む」


「……前もそうだったが、死んでるゴブリンをさらに撃つってなんの意味があるんだ?」


「ゾンビになったときの対策だ」


「ゾンビ? なんだそれは?」


「動く死体だ。魔法で動かされたらたまったもんじゃないだろう」


 この世界にそんな魔法があるか知らんが、ないとも言えない以上、用心しておくに越したことはない。片付けられないなら燃やすなり動けないよう頭を吹き飛ばしておくべきだろうよ。


「……そう言えば、聞いたことがある。不死を操る魔法使いがいると……」


 いるんかい! 魔法がある世界、マジクソだな! ゾンビ大好きアメリカ人を連れてこいよ! 喜んで殲滅してくれるぞ! ※偏見です。ゴメンナサイ。


「そうだ。あいつらに手伝わせるか。一人銀貨一枚出せば喜んで手伝ってくれるだろう」


「着くのは夕方だろう?」


「いや、長い列を組んでるわけじゃないんだからそろそろ到着するはずだ。見てくる」


 そう言うとキャンプ地へ走っていった。


 まあ、戻ってくるまでゴブリンを集めておくか。


 流れていったものは諦めるとして、川に倒れているゴブリンを引き上げた。下流のライダンドに迷惑かけるのも気が引けるしな。


「タカトさん!」


 P90装備に換えたミリエルが戻ってきたので、生きているゴブリンを集めて手足を拘束する。


「ミリエル、ゴブリンを回復させられるか?」


「ゴブリンを回復させるんですか?」


「帰るまでに死んだら使えないからな。試しにやってみてくれ」


「わかりました。やってみます」


 と、腹を撃たれたゴブリンに手をかざし回復させた。


「弾は出てこないか」


 回復時に弾丸が弾き出されると思ったら体の中に入れたまま回復してるよ。これじゃよけいに体を破壊するんじゃねーの?


「ミリエル。眠らせてくれ」


 苦しむゴブリンを眠らせ、傷口をナイフで開いて弾丸を抉り出してから回復してもらう。


「疲れないか?」


「このくらいなら大丈夫です。魔石も持ってきてますから」


 それから二匹ほど実験してたらミシニーが朝の冒険者を五人、連れてきた。


「悪いな、突然頼んだりして」


「なに、銀貨一枚払ってくれるなら喜んで手伝うさ。ゴブリンを片付けるんだな?」


「ああ。死んでいるのだけ頼む。生きているのはこちらで片付けるんで。ミシニー、止めを頼む」


 オレは生きているゴブリンをキャンプ地に運んだ。


 数が数なだけに夕方近くまでかかってしまい、ラザニア村に帰る頃には暗くなる。こりゃ、一泊したほうが安全だな。


「ミリエル。パイオニアを出してくれ。今日はここでキャンプして、明日はゴブリンを運ぶとしよう。ミシニー、構わないか?」


「構わないよ。タカトたちがいれば快適に過ごせるからな」


 まあ、そうだな。ほぼレジャーキャンプだし。


「わたしも外でキャンプしたいです!」


 オレらと出会うまで野宿キャンプしてただろう。まあ、止める理由もないし、好きにしたらいいさ。


 キャンプの用意を始め、何度かホームに入ってたらラダリオンが入ってきた。


「帰ったか?」


「うん。檻のこと、ゴルグに言った」


「ありがとな。オレらはミランド峠に一泊する。カインゼルさんが帰ってきたら明日、パイオニア二号でミランド峠まできてくれるように伝えてくれ。生け捕りにしたゴブリンを運ぶんでよ」


「あたしたちもいく?」


「んー……そうだな。まだゴブリンもいるし、皆できてくれ」


「わかった。そう伝える」


 こう言うときはホテルのビュッフェが一番。夕飯なのに朝食ビュッフェはご愛敬。ミリエルと一緒にキャンプ地に運んだ。


「なんだ、これ!? スゲー料理じゃねーか!」


「なんの晩餐会だよ!」


 冒険者たちも誘ったらテーブルに並べられた料理に驚いている。


「遠慮なく食ってくれ。酒は出せないがな」


 なんて聞いちゃいない。遠慮なく料理を食い出したよ。


「ほどほどにしておけよ。夜はまだきてないんだから」


 ミシニーが言うとエロく聞こえるな。まあ、だからってエロい展開にらならんけど。 


「まあ、たくさん働いてもらったんだから好きなだけ食ってくれ。ミシニー。悪いがオレとミリエルはホームに戻る。二十二時まで頼むな」


 ミリエルをまずは休ませてやりたい。結構、無理させたからな。


「ああ、了解した。ゆっくり休んできてくれ」


 ミシニーの言葉に甘えてホームへ戻った。

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