第85話 管理は大変
ラザニア村に帰るまでにゴブリンを二十八匹も駆除できた。
とは言え、ちょっと熱中しすぎてラザニア村に着いたらすっかり暗くなっていたよ。ハァー疲れた。
「村への紹介は明日にしましょう」
ゴブリン駆除はカインゼルさんに任せてたが、ゴブリンを草むらから出すのに苦労した。エサが豊富なのが四十キロくらいまでなっていた。
そのまま放置したいが、草むらの中で腐敗されても困る。村の者に片付けてもらうためにも道に引きずり出したのだ。
村を回ってうちに向かい、カインゼルさんを中へと招いた。
電気がないので懐中電灯を使い、置いていたLEDランタンをつけた。
「今日はここを使ってください。一応、水と食料は置いてありますんで好きに使ってください」
数日放置していたので十五日持つように触っていき、缶詰めの開け方を教えた。
「用を足す場所がないんで面倒ですが外でお願いします。食事を用意するまで少し休んでてください」
セフティーホームのことは教えてあるのでその場で帰った。
「ラダリオン。先に風呂に入っちゃいな」
装備を外してるラダリオンにそう言い、オレも装備を外した。
ベルト装備だけはそのままに備品棚から毛布とタオル、キャンプマットを持って外に出る。
一度も使ったことがないベッドにキャンプマットを敷き、タオルを枕に毛布を敷いた。
「オレが出したものは十五日で消えてしまうので気にせず使ってください」
そう言ってまたセフティーホームに戻り、夕飯の用意をする。
今日は汗もかいたのでジローさんなラーメンといくか。あと、餃子三皿と大盛りチャーハンをつけたらラダリオンも満足はするだろう。足りなければデザートの量が増えるだけだしな。
「カインゼルさんにはあっさりな醤油ラーメンでいっか」
盆に醤油ラーメンとフォーク、レンゲ、リンゴを二つ乗せて外に出る。
「夕飯です。今日はこれを食べてください。明日はカインゼルさんの好きなものを持ってきますから」
醤油ラーメンを説明し、スープを飲んでもらい、大丈夫なら食べてもらった。
「美味い!」
あっと言う間に醤油ラーメンを完食。注いだ水を満足気に飲み干した。
「魔物が襲ってくることはないと思いますが、一応、これを置いていきますね。安全装置はここです」
カインゼルさんに渡した空のグロック17とオレが装備していたグロック17を交換する。一応、使い方は教えたので使えるだろう。
「なにからなにまですまないな」
「お気になさらず。カインゼルさんにはいろいろ教えてもらいますからね。では、明日」
そう言ってセフティーホームへ帰った。往復、疲れる。
先に食べてるラダリオンに続きオレも肉マシマシなラーメンをいただき、一時間くらい休んでからシャワーを浴びた。
「ラダリオン。明日と明後日は休みにするが、オレはカインゼルさんに剣を教えてもらう。お前は好きにしてていいからな」
「あたしも教えてもらう」
「……そうか。じゃあ、二人で教えてもらうとしよう」
ラダリオンがそう言うならオレに異論はない。消耗品を補充したら軽くサンドバッグを打ってから眠りについた。
朝、いつもより早く目覚めてしまった。
……休日ってなんで早く起きちゃうんだろうな……?
まあ、昨日は十時くらいに寝て、五時に起きたんだから充分眠れたほうだろう。
ラダリオンを起こさないよう顔を洗ってから玄関に向かった。
まずは缶コーヒーを飲んで一服し、5Sの続きを始めた。
「……カインゼルさんも銃を使うとなると管理が増えるな……」
オレは基本、P90を主体とし、状況に合わせてベネリM4、MINIMI、Hスナイパー、MP9だ。最近、グロックは使ってなくてもサブウェポンは持ってなくては怖くて仕方がない。
オレ一人でもこれだけの銃を使い分けなくちゃならないのに、ラダリオンの分もある。
最近のラダリオンはSCAR−Lを気に入ったのかそれを主体にし、Hスナイパーも慣れるために暇なときに弄っている。
オレたちの銃の相性は別。統一なんてできやしない。これからも被ることはない感じがする。
そこにカインゼルさんが加わるんだから管理が減るってことはないだろう。
「管理してくれる人材が欲しいな」
戦いに参加しなくても管理してくれるだけで凄く助かる。買うのはオレだとしてもな。
まあ、セフティーホームに入れるのは五人まで。誰彼構わずってはいかないけどな。
「あ、畑に隠れてるゴブリン駆除となると射程の長い銃にしないとならないか」
Hスナイパーはあるが、そこまで本格的なものじゃなく、百メートル内を狙う感じだから5.56㎜のアサルトライフルで充分だろう。カタログスペックでは四、五百メートルは届くっぽいしな。
「最新のアサルトライフルってなんだかんだで二十万円前後するんだよな~」
そこにサプレッサーや光学機器をつけると三十万円は余裕で超える。スコープが本体より高いとか意味わからんわ。
「あ、木刀買っておかなくちゃな」
まさか真剣でやるとかオレには無理。カインゼルさんの腕なら斬るも斬らないも自由自在だろうが、こっちは素人。相手が刃物持ってるってだけでビビるわ。
長さの違う木刀を十本ばかり買っておく。
ラダリオンが起きてきて朝飯をいただき、コ○ダ珈琲店のミックスサンドとオレンジジュースを持って外に出た。
「おはようございます。ゆっくり眠れましたか?」
カインゼルさんは起きており、グロックを弄っていた。
「ああ。久しぶりに安らかに眠れたよ」
路上生活じゃ違った意味で安らかに眠りそうだな。
「朝飯です。足りなかったらもっと持ってきますから」
「これで充分さ。堅パン食えたらマシだったからな」
路上生活の大変さよ。そうならないようがんばろう。と、ミックスサンドを美味そうに噛み締めるカインゼルさんを見て強く思った。
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