第18話 Marry me(18)
一緒に家族をつくっていく。
夏希は彼の言葉がものすごくものすごく
嬉しくて。
「・・うれし~~、」
素直にそう口にして高宮の腕にぎゅっと縋りついた。
高宮は少し起き上がってそんな彼女にキスをしようとしたが
例の顔のバンソウコウがあまりに間抜けで
見詰め合ったあと、また吹き出してしまった。
「・・だから! もう、」
夏希はしつこく笑う彼が憎たらしくなり、彼の鼻をぎゅっとつまんだ。
「ごめん、ごめん。 あ~~、なんか。 萎えるなあ、」
そう言って、そっとキスをした。
いつか
隆ちゃんとあたしの赤ちゃんを
この手に抱いて。
両親がしてくれたように
たくさんの愛情を注いで。
二人で愛して育ててあげたい。
それは今までの行為とは違い
神様から命を授かる神聖な行為で
あたしたちはこれから
何があってもこうして
抱き合って
愛し合って
生きていく。
「んじゃあ。 明日、あんたは7時にはここを出なくちゃね。 もう寝たら。」
挙式の前日、夏希の母が上京し、彼らのマンションに泊まることになった。
「あー・・うん。 あれ? えっと持って行こうと思ったバッグ、どこいったっけ?」
夏希はいつものように準備もズボラで今さらになって箪笥の中身をひっくり返す大捜索をはじめてしまった。
「まったく! あんたはほんっとに小学生の時から学校に行く前に時間割揃えたりするから! 忘れ物ばっかりしたし!」
「ちょっと、ごちゃごちゃ言わないでよ! も~~~、」
二人のやり取りに高宮はクスっと笑ってしまった。
夏希が風呂に入っている間、
「どーぞ。」
高宮は夏希の母に温かいお茶を淹れて来た。
「ああ、どうもありがとう。 こんなのあたしやるのに、」
「まあ、ゆっくりしてください。 ほんと、もう入籍もしてるし住むトコもかわるわけじゃないし。 式だけですから。 ちょっとは余裕があるかなって。」
高宮はニッコリ笑った。
母は少しだけお茶を飲んだ後
「めんどうな娘だけど。 本当によろしくお願いしますね、」
いつもとは違って少しあらたまって彼に言った。
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