第16話 Marry me(16)

「今度はだいじょぶそーやな。」



高宮はたまたま志藤と昼に居合わせたので、二人で食事を採ることになった。



「え?」



「結婚式。 もうあさってやん、」



「・・あ~~、そうですね。」



高宮は苦笑いをした。



「専務が責任を感じてしまって、挙式する教会とか披露宴の場所もちゃんと押さえてくださって。 普通、こんなに急に言っても空きがないってみんなから言われます。」



「まあ。 それがジュニアの気持ちやから。  社長も何とか車椅子やけど出席できることになったし。」



「そう、ですね。」



高宮はゆうべのことを思い出した。



「・・・」



上目遣いに考え事をしていると、




「またなんか心配事?」



志藤が鋭く聞いてきた。



「いや・・心配事ってわけでもないんですけども。」



首を捻ってそう言った。






「は、こども?」



「はあ・・。 なんかね。 急に欲しいとか言い出して。 ぜったいに栗栖さんちの子見てるうちに欲しくなったんだって、」



高宮は頬杖をついた。



「は~。 加瀬がね~。 どう考えてもあいつ自身が子供やからな。」



志藤は笑ってしまった。



「そうでしょう? もう今だって仕事と家庭でこんがらがっちゃってるっていうのに。 その上子供なんかできたらって思うと、」



「まあ・・でも。 なんだかんだ言って。 あいつも・・もう26? まあ、妥当な年ではあるよな。」




志藤はタバコをふかしながら言った。



そう言われると



そうなんだけど。



「でも。 彼女は普通の26の精神年齢じゃないし、」



それが一番心配だった。




「ま、でも。 デキちゃえばなんとかなるって。 とりあえず作ってみるってのはどう?」



かる~~く言う志藤に



「ま。 あなたならそう言うと思いましたよ・・。」



高宮は小さなため息をついた。



「ぼくはね。 子供のころから全部何事にも計画を立てて実行してきたんです。 思いつきだとか、結果オーライだとか、そういうのは性格的にいやなんですよ・・・。」



「ま、おまえらしいっつーか。 でも。 ・・おまえが加瀬にホレちゃったときはさあ。 計算とかも全くなく、色んなめんどくさいことがいっぱいあったけど・・そんなん考えずに突っ走ってきたやんか。」



彼の言葉に



ハッとした。



「人間。 そういうもんじゃない? 大事なことはよく考えてってのは基本やけど、迷ってたらな、いつまでたっても子供つくることなんかでけへんと思う。 だいたい今のまんま加瀬がなんか変わると思う? いきなりしっかりするとか。」



うっ・・



グサっときた。



確かに。



どんなに時が経ったとしても



今の彼女は絶対に変わったりしないだろう。



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