第3話 Marry me(3)
「あんなにネガティブなこと、言わなくても・・」
夏希が帰った後、萌香は翔におっぱいを飲ませながら斯波に言った。
「・・でも。 それが現実だろ? あいつはほんと夢みたいなことばっかり言って。 高宮みたいな家に嫁に行ったらそういうことだって覚悟しなくちゃなんねえんだ。 今はあいつのことが好きだから多少のことなら耐えられるだろうけど。 将来、めんどうなことが起きることだってあり得るし。」
斯波は厳しく、そして心配そうにそう言った。
「あんこ~~、一緒に寝よ。」
この日も高宮は12時になっても帰ってこなかった。
起きて待っていたいのだが、彼女の場合寝不足がわかりやすく仕事に差し支えるので
高宮はきちんと寝るように、と釘を刺していた。
あんこは毛が抜けるし、しつけのためにもベッドで寝かすな、と高宮から言われていたが
夏希はなんだか人恋しくて、高宮がいないときはついついあんこと一緒に寝てしまう。
隆ちゃん、また忙しくなっちゃって。
大丈夫かなあ・・
前みたく無理しないってゆーけど
高宮の身体も心配だった。
そして目を閉じると、さっき斯波に言われたことを思い出した。
あたしたちの子供は
あたしたちの思うように育てられないんだろうか。
高宮家のものなんだろうか。
ちょっとゾッとした。
隆ちゃんと結婚したら、大変なことはいっぱいあるだろうって覚悟はできてた。
でも
あたしがつらい思いをすることなら、頑張って乗り越えようって思っていたけど。
子供のことまでは考えてなんかなかった。
隆ちゃんの背中にはすっごく大きくて大変なことがたくさんあるって
わかってるけど。
心配しながらも徐々に深い眠りに堕ちていた。
夏希は外出の仕事も増えた。
移動中に携帯に電話を受けた。
高宮の母からだった。
「あ、夏希さん? あのねえ、品川の大叔父が風邪をこじらせて入院したのよ。 あなた今日、仕事終わったらお見舞いに行ってくれる?」
唐突なお願いだった。
「は・・」
「あたしと主人はさっき行ってきたから。 隆之介はどうせ仕事で遅いだろうから、あなたが代わりに行ってきて。気難しい方だから粗相のないようにね。 病院はあとでメールしておくから。 お願いね。」
強引に、そして一方的に言われて、その電話は切れた。
は??
なに?
ってゆーか。
『大叔父』って
どんな関係の人??
どーでもいいけど『お』がいっぱいで言いづらいし・・
夏希はわけがわからず立ち止まって首を捻って考えた。
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