第4話   怪物と逃げ(2)

俺ら三人は、一階の教室を回っていたところ、登を後にした事を後悔し、ずーーっと「登、登、登、、」と呟いていた亮子が突然口を開いた。


亮子「ああああああああああ!」


森&飛鳥「うお!」


飛鳥「ど、どうしたん?」


亮子「あ、あれ、、、(震)」


亮子の震える指の先を、俺と飛鳥が目をやると、


ズズズ、、、ズズズ、、、


何引きずってんだ?人?!


???「あアっああアぁァ、、、」


「その何か」は髪は長くボサボサ、制服のようなぼろぼろな服を着て、よく見えないが、赤黒い血のようなものが体中を覆っていた。俺はすかさず二人を教室に放り込んで、俺も教室に隠れた。「その何か」はこっちに気づいたらしく、人らしいものを引きずりながら廊下を、教室を見回るなくまた上に上がって行った。その時、


亮子「あ!ッンンンんんんん」


亮子の口を押さえた。亮子が叫びたいのも、わかる。三人は一瞬で察した。あの引きずられていたものは、、、登だった、、


森「嘘、だろ?あ、あいつ、、」


飛鳥は黙ってるばかり。だが俺たちは、「何か」の顔を覗き込もうとはしなかった、いや、しようとも思わなかった。


亮子「あぁアアあァ、、あア、、」


森「お、おいだいじy、」


飛鳥「おい、しばらく一人にさせとけ」


そりゃそうだ。慕ってくれていた後輩が「死んだ」と他人から言われても、簡単には信じないが、こうして目の前で「死んでいる」と告げるように見せつけられると、信じられず、放心するのは、必然だ。


森「と、とりあえずこの教室、回って見るか。」


と、辺りを探る俺、机に座って遠くを見つめている飛鳥、今だ放心状態の亮子。すると、


かれん「先輩!!」


そこには、彼女がいた。相川かれんが。


森「どうしたんだよ!?お前。びっくりしたぞ!急に走り出すから。」


かれん「はぁ、すいま、はぁ、せん。」


俺は、かれんが生きていた事に喜んで、なぜ急に走り出したのか聞かなかった。そんな場面に飛鳥が口を挟む。


飛鳥「おい!かれん。どうして急に走り出したんだ?」


かれん「そ、それは、、」


かれんはそうはぐらかすと、何か思い出したかのように亮子のもとに駆け寄った。


かれん「亮子!大丈夫!?」


亮子「かれん、、かれんなの?」


かれん「そうだよ!かれんだよ!」


亮子「そうか。私、ぼーっとしてて、」


二人が会話する中、飛鳥の方をふと見ると、二人に、ではなくかれんに怪訝な視線を送っていた。俺はよくわからないが、奴は何かしら掴んだのだろうか。そう考えていると飛鳥が一言。


飛鳥「なぁ~、みんな。上も探ってみないか?ほら、まだ何が原因なのかわかんないと気になるだろ?」


俺らは驚いた。なんでって最初こそ積極的でなかったのに、今探索に協力的になるのはおかしい。と思ったからだ。


かれん「いや、でm」

森「良いんじゃねぇか。ここまで来たしな」


亮子「そうよ(小言)そうしましょ。登の他にも犠牲者がいるのなら、止めないと。」


かれんは探索を再開し、教室を出るとき、何やら罰の悪い顔をしていた。
























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る