第1話 信康の成長
信長の娘の手紙
家康は、ある事件で最愛の嫁と息子を失った。
彼は、それを死ぬ寸前まで悔やんでいた。そしてそれが人生最大の汚点だと思っていた。
彼はその事件後、この反省を糧に人生を歩めていった。天下人と呼ばれて日本一幸せだろうと多くの人々から思われていたが実際は最愛の二人を失った虚しい人生だった。
彼はこの悔しさをバネに、このような悲劇を二度と起こさないように頑張ってきた。
しかし天下を統一しても彼の気持ちは晴れずただ多くの人を殺め、不幸にしたのだと罪悪感を感じただけであった。家康は、これからの人生を生きる意味を見いだすことが出来なかった。
彼にとって、自分の人生で幸せだったのは僅かに三年だけだった。
その後は闘いの連続で、これからの人生はどう生きるかは未定であった。彼は、今後は自分のために有意義に使いたかかった。彼は、どうすれば一番有効かを考えようとして自分の人生を振り返ってみるのだった。徳川家康の幼少期は、苦労と忍耐の連続だった。父広忠は暗殺され、母の於大の方は実家の水野家に戻った。
家康は、小さい頃より両親がおらず孤独だった。しかも今川の人質として身柄を他国に預けられ、自国の身内や家臣とも会うこもかなわず疎遠にさせられていた。
もう十六年も身内や家臣に会わなければ、古里も他国同様である。しかも土地の権利を保証できなければ、忠誠心もなくなるのも必然であろう。
家康は、松平家の当主の地位さえ危ういあやしくなりつつあった。
そんな辛い時期に、彼は妻をめとった。
相手は今川家重臣、関口義広の娘瀬名姫だった。
彼女は、今川義元の姪である。彼女は、教養があり気位も高い箱入り娘だった。三・四才歳上だったといわれている瀬名姫は、家康をことのほか可愛いがった。
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