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で?なんだったのさっきの。
(あぁロアン、お主と出会ってもう何年が経ったかのう。)
誤魔化すなよ、ちゃんと言えって。
(まぁそう急かすで無い。少し私の話を聞け。)
…………何?
(初めて会った時お主は………あぁもういい。やはりはっきりと簡易的に必要な事だけを言う!)
なんだよ。ったく、で何なの?
(私はお主と契約を結んだ「トラ」の始祖だ。それで先程の男はお主と同じく始祖と契約を結んだ者じゃ。)
は、はぁ。
(そしてこれから生物の始祖と契約した者達を通して、私達生物の始祖による生存競争…簡単に言えば殺し合いが始まる。)
…………は?どういう事。
(つまりは今言った通りじゃ。これからお主や先程の男の様な普通の人間では無い奴らの殺し合いが始まり、お主はそれに強制的に巻き込まれる。)
え、は?
(悪いが戦わなければお主は死ぬ。故に生き残って…)
……ちょっっっと待って!え、あぁぁまず、その生物の始祖って何?
(遥か太古「生物」が誕生した瞬間、最初に生まれた存在じゃ。)
な、なるほど。
(そして生まれたと共に競い合った、この地上で文明を築く王者の種と成る事を求めて。そして「ヒト」が勝利した。持ち前の頭脳と投擲能力を用いてな。そしてその「ヒト」の始祖が今では主神等と言われている存在じゃ。)
……おう、神様。
(分かったか?)
ま、まぁ3分の1くらいは…。
(まぁそういう昔の事は後々理解していけば良い。)
てか何でそんな「トラ」の始祖なんてのが俺の中に居るの?
(ロアン、お主は私と初めて合った時の事を覚えておるか?)
いや、思い出そうにも何も出てこないってこれまでに何度も言ってただろ。気付いたらアンタはいつの間にか俺の中に居て、俺に語り掛けてきてたんだから。
(そうだったな。まぁその内思い出せるばすじゃ。)
なぁ、殺し合いってどういう事なんだ?
(もう一度、決めようとしているのだ。王者の種と成る存在を。私を含め、全ての始祖は「ヒト」の始祖に負けはしたが屈服はしておらぬのでな。しかし目覚めたばかりの体では十分な力はだせなくてな。こうしてお主ら人間の体を借りているのだ。力をくれてやる変わりに体を共有させて貰う。叡智であった「ヒト」の始祖が編み出した契約と言うものだ。魔法の起源と言った方がお主には伝わりやすいかのう。)
あぁえぇっと、俺達人間の体でならば虎さん達は全力の力が出せるのか?
(力を出しているのは私達では無く、飽くまでお主達じゃ。故に大雑把な力の系統は私達によって決まったとしても、具体的な力の能力はお主達の適正で決まるのう。)
つまり?
(具体例を出すとしたら先程の男が丁度良かろう。あの男の場合、力の系統は「エイ」で力の能力はアカエイであった。)
俺の場合は?
(系統が「トラ」、能力が白虎であろう。)
白虎って?
(東の地方に生息する虎の一種じゃ。)
ふぅん。そう言えばあの光の粒は?あれ凄く気持ち悪かったんだけど。
(傷付き疲弊した「エイ」の始祖じゃ。それをお主は体に取り込んだ。その嫌悪感は、契約もせずに体内に始祖を取り込んだ反動じゃろう。これから何回か体験することになると思うが、まぁ気を確かにな。)
絶対嫌なんだけど……。あぁ後、一番聞きたかった事。俺、これからどうすれば良いの?
(まぁ闘うのじゃな。そして勝って生き残れ。敗北は死だ。というかお主先程あの男を蘇生しておったが…)
なんだよ、人をそう簡単に殺せる訳無いだろ。
(甘いのう。)
うるせぇよ。……なんでこんな目に。
(それほど落ち込む事でも無いだろうに。)
あ?
(相手に勝てば、その相手の力が手に入る。強くなるのは英雄に成りたいお主には僥倖とも言えよう。)
確かに強くなれるのはありがたいけどさ。
(残念ながらどの道もう避けては通れぬぞ。ならば前向きに考えるべきであろう。)
まぁそうかも知れないけどさ……サポート、ちゃんとしてくれるのか?
(勿論。私も王者の種を狙っておるからのう。それに「ヒト」に雪辱を果たすというのもまた良かろう。想像しただけでも滾るわ。)
そうかよ。てかさっき勝てば相手の力が手に入るって言った?
(うむ。既にお主は「エイ」の力を得たはずじゃが。)
え、そうなの。…………………どうやって使うの。
(口に出して見るのと良いのでは?)
「……「エイ」。」
1人でポツリと呟くが何の変化も感じなかった。しかし次の瞬間、降ってきた1枚落ち葉が肩の当たると直ぐ様落ち葉に超強力な電流が流れ、落ち葉は一瞬で黒焦げになり煙を発して見せた。
「っうわ!!」
(腎臓が変化、胸部において蜂の巣状に発電細胞が密集、触れた物体に超強力な電気ショック………シビレエイか。)
し、シビレエイ?なんだ、今の虎さんの力じゃ無いのか。
(いいや、今のがお主の新しい力じゃ。喜ぶが良い。お主は今、前より強くなった。)
お、おう。
今日は早く寝よう。色々が頭や体が疲れた。
アカエイの毒がまだ少し残っている中、俺はゆったりとした足取りで寮を目指し、歩き続けた。
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