会話と霊視⑦ 神社参拝
「唯人君って面白いね。……まあ、お母さんと、おばあちゃんは、それで精神的に追い詰められてたから、私はネットで、除霊、浄霊、お清めの
「特に、浄霊の方法でよく書かれていたのは、『死んだ人に対して、その人を思い――』と言うのが
「そんなある日、有名な伊予彦神社へ行って、家内安全のお祓いをしてもらった。そしたら、霊現象はぴたりと止まったの…。お祓いのおかげか、少し遠出をして、観光名所にも立ち寄ったことで気晴らしが出来たせいなのか…。…とにかくその日からは、何も起きなくなったわ。
「それから何か月も変なことは起きなくて、私は無事、高校に進学した。鶴巻高校は家から一番近かったし、アルバイトなんかもしたかったしね。
「高校に入ると、私は同級生や上級生の男子から、頻繁にデートのお誘いや、告白を受けた。自慢じゃないのよ。昔から愛想だけはよかったから、どこか勘違いさせるところがあったのかもしれない。でも、基本的に対人スキルがないからさ、ただ周りに合わせていただけ。只々周りの人と仲良くしたかっただけなんだけどね……」
「いじめとかですか?」
「まぁねぇ、告白を受けるたび、私は『今は誰かとお付き合いする気にはなれないので』とすべて断ってたの。だって、そんなんに恋愛に興味が持てなかったから。そのせいで男性からも、女性からも『お高く留まって』と、段々孤立していった感じかなぁ。同じクラスの、権力のある女子集団から、結構な嫌がらせを受けたなぁ。」
「逆恨みですね、腹立ちますね。」
「はは、そうだねぇ、制服なんかも隠されたりしちゃってさ…、なんであんなことするんだろうね…。私の立ち振る舞いが悪かったのかなぁ。」
「俺、バスケ部で先輩と一緒にいて、そんなこと思ったことありませんけどね。バスケ部の他の人たちとも、後藤とも、先輩は普通に仲いいじゃないですか」
「後藤ちゃんね、後藤ちゃんも私の
「…噂…ですか…。それもこれも、京香さんの後ろの人達がやったことでしょ。京香さんの意思じゃないなら、京香さんのせいじゃありませんよ。」
「『若月京香と話すと
「それは俺も感謝してますよ。京香さんを助けてくれて。…本当にありがとう…」
唯人君は、今は身を隠している、私についている幽霊達に、宙をみあげてそう言った。本当に変わってる…。だけど優しいし、姿形がどうあれ、善悪の区別がしっかりしているのだと思った。
「唯人君さ、私の噂、聞いたことある?」
「…噂程度には…」
「変な誤解があると嫌だから、そのことについても、話していい?」
「いいですよ。俺も聞きたいです」
「ありがとう……」
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