一章 はじめての夢

第1話 はじめての夢


僕は、夢の駅にはじめて来た。

15年間も生き続けて、一度も夢を見たことがなかった。

だから、夢の駅の職員と名乗った綺麗なお姉さんに、『抽選で夢を見られるかどうかが決められる』と聞かされた時は、納得したような、自分の運の悪さを嘆くような、なんとも複雑な気持ちだった。


『夢列車にご乗車いただき、ありがとうございます。

 まもなく、1番駅に到着いたします。

 1番と書かれた切符を持っている方は、降りてください。

 それでは……

 Have sweet dreams.』


いつの間にか持っていた自分の切符を見ると、【1番】と書かれていた。

ガタガタと年季が入ったようなドアが開く。

古い駅が見える。

駅を降りたら、夢が見られる……

ドキドキする。少し、怖かったりもする。悪い夢を見ないといい……。


足を踏み出す。

駅に足を付ける。

『発車いたします。』

ドアが閉まる。

列車がどこかへ行く。


たったそれだけのこと。

それでも、こうもわくわくし、どきどきするのは、はじめてのことだからだろうか。

気が付くと、景色が……できた、とでも言えばいいのだろうか。

先ほどまで暖かな光を放っていただけだったのに、なんだか懐かしい雰囲気に変わっていた。

1番駅に降りたはずだが……ここは駅じゃない。

ホームじゃない、と言ったほうが正しいのだろう。


公園だった。

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