ひとこと
「扱っているメーカーが変わりました」
いつももらっている薬を、薬局でもらうときこんなことを薬剤師から言われたことがないだろうか。
最近は度々多くなっているこの言葉。
またか、と思う人もいるだろう。なんでこんなにコロコロ変わるのかと。
薬局の都合で変わっているわけだが、意図的に変えているわけじゃない。
繰り返そう。意図的じゃない。
決して、患者さんを困らせようとしているわけじゃない。
☆
たかが薬局。
医者の出す処方箋を見て薬を出すだけの仕事。
そう思われがちだけど、個性的な患者さんに合った対応、保険請求できるかの確認。そこまでやるのが薬局の仕事。
昨今はさらに、大変なことも起きている。
薬局に欠かせない、いや、医療に欠かせない薬の流通が滞っているのだ。
各医薬品会社が頑張っているけど、どうしても薬の製造が追いつかなくなってしまうことがある。そして起きてしまった、薬の供給不安定。
A社が作る薬Xの流通が止まってしまった。もうしばらくの間は納品されない。そういうことが多々ある。
Xを服用している患者さんの処方箋が来たとき、「在庫がないので受付できません」なんて言って断ることはできない。それが薬局である。
在庫がないなら何としてでも手に入れなくては。患者さんに迷惑をかけてはならない。
薬の服用を在庫の都合上で、中止させてしまうわけにもいかない。だったらどうするか。
代わりにB社のものを使おう、となるのだ。
だから最近は、同じ薬を薬局でもらっているにもかかわらず、製造会社(メーカー)がコロコロ変わる。ということが起きている。
まだ他の会社で同じ成分の薬があるのならマシな方だ。
製造している全ての会社が、その成分の薬の供給がストップしてしまうなんてことになればもう悲劇。
先発だとか後発品だとか言ってられない。だって、どっちもないのだから。
こんなことが実際に起きている。製造が止まってしまったということが。
その際は製造会社に勤めている人が、医師の元を訪れて説明やらなにやらして、処方しない、という対応に至った。
薬局は薬局なりに頑張って準備しているので、どうか怒らないでほしい。
我々にはどうしようもできない現状なんです。薬局に言われてもどうしようもないんです。何なら各製造会社さんに……いや、でもそっちはそっちで大変みたいなのでやっぱり心のうちに秘めといてください。
以上、薬局勤務薬剤師からのお願いでした。
処方箋を持って薬局に行かれた際には、待ち時間が長くなってしまっても、薬のメーカーが変わってしまっても、裏では大変なことをやっているんだな、とそっと見守っていただけたら幸いです。
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