第7話【H&K】えちえちを書く!
*微エロ描写有り、ご注意ください
◆ ◆ ◆
ある日、お願い事をした。
言葉足らずな表現ながらも理解を示してくれた。やんわりと断られ、承認は得られなかったが。そこは想定の範囲内だから問題はない。諦めずに執拗く
抱いてくれ、と。
長い沈黙の後、そこまで言うならば、と応じてくれたあなたが照れくさそうに顔を綻ばせた。
それが嬉しくて。
差し出されたあなたの手を握り返したんだ。
実は、これが二度目のお願い。
初回は諸事情により、殴り合いのような互いの感情をぶつけるのみで事を終えた。当然そこに甘さの欠片もなく、苦いというよりも寧ろしょっぺぇと言っても過言ではない、いや、それ以外のナニモノでもなかった(←語彙力の無さよ)。
そう考えると、これが事実上お初♡となるのか。
むふふ、いと感慨深し。
ソファに座るあなたに向き合って膝に乗り、色素の薄い美しい瞳に吸い込まれるように唇を重ねる。いつもはがっつく俺を嗜めるように導くあなたのキスも、今回ばかりは押せ押せモードで逆に食われそうな勢い。
立場が逆転するだけでこんなに違うものなのか?
そういう俺だって受け身姿勢に徹底してるし。
まぁ、そんなもんなんだな、うん。
何処ぞの偉い学者様の研究によれば、唾液に含まれる男性ホルモン物質には相手の性欲を引き出す効果があり、こうして相手と交換する事で性欲が高まるらしい。
そのありがたい研究結果に倣うわけではないが、気付けば上衣は全て剥がされ胸元を弄ばれる。
あなたと出逢わなければ知ることも無く一生を終えたであろう、様々な感覚。
これもその一つ。
コロコロと舌先で転がされては優しく口内に含まれ、時にピリッと刺激を受ける。痛いのは勘弁して欲しいが、極ごく稀にならば……。
え、俺って、もしかしなくてもM男だった?
自問自答してウッカリ吹き出したら上の空は許さんとばかりに更に攻め立てられた、ひょえー!
マズイな、これだけで十分に反応してるんだが。
早すぎるし、チョロすぎるよな?
思わず腰を引いて距離を取ると、あなたは意地悪そうな顔をして膝立ちにさせて俺の及び腰をくっと引き寄せる。その両手は既に臀部の柔肌(?)を撫で回し、緊張で引き締めた割れ目に沿って指を滑らせ―――るのは、良いんだけどさぁ。
感度の良さを知って嬉しそうに前面をはむはむするのは、衣服越しとはいえ、恥ずかしいからやめてくれいっ!
空は夕暮れ色に染まり始め、センサーが作動した間接照明が柔らかく室内を照らしだす。
「疲れるでしょう、横になろうか。腰の下にクッションを置くよ」
優しく寝かされてちゅっと軽いキスの後、パンツもろとも脱がされて生まれたてのスッポンポン姿になる。何故か俺、一人だけ。
あなたのシャツを掴んで脱がそうとするが、
「僕は下ろせば済むから、お気遣いなく」
間髪入れずお断りが入る。
これは何か企んでいるのでは、と勘繰るが、紳士に見えてたまに変態さんに変貌するからそういうプレイなのだと納得し、三十路へ向かう男がモジモジと恥じらいながら両手を広げてあなたを待つ、と?
「いひゃぁぁ! き、急に股を広げるなっ……てか、待て……ちょ…うわわ、何だよこの格好!」
「
「だって、だって、この体勢はオカシイだろ!!」
「うんうん、なかなかに
特大サイズのクッションに預けた俺の身体は、膝裏に腕を入れて持ち上げられたままガッシリと固定され、所謂、M字開脚のおっ広げ状態でケツは中空に浮いている。逃げ出そうにもフワフワクッションが邪魔をして力が入らず、唯一の逃げ道は仰向けのまま頭から床へとダイブせねばならない状況。
まぁ、事実上のお初えっち♡で逃げ出す気は皆無だからそれは良しとする。だが、この仕打ちにはさすがにドン引かずには居られない。
「この三年、あんな事もこんなコトも試しておきながら恥じらいなど今更……いや、この初々しさこそ、また一興。記念写真でも撮りたい気分だよ」
「へ、へ、変態さんが現れた〜〜!!」
「その変態さんが、きみの羞恥心を淫楽からの恍惚へとすり替えて差し上げよう。
「んんん、何だって?」
「〈ちちんぷいぷい〉の諸説の一つだよ。講義中に説明しましたが?」
「うわーん、やさぐれててスミマセン!」
爽やかな笑みを見せて厳かなおまじないをかける声音とは裏腹に、Mの中心にその身を密着させてはスリスリと動き始めるあなた。やってることがエグくて、今のところ涙しか出てこない。
やがて、衣服越しに徐々に変化する感触が露わになった俺の敏感な肌にじわじわと伝わると。
これは……ちょっとヤバい、クセになりそう。
緩い動きに合わせて漏れ出る声を抑えにかかる。
「悦んでいただけて誠に恐縮ですが、一つ尋ねたいことが有る、正直に答えて」
第二の俺をゆっくりと擦られて頭が真っ白になりそうなこの状態で出来るものならやってみよう。
コクコクと首肯する。
「ねぇ、きみは、準備の仕方を誰に聞いたの?」
ジュンビ、じゅんび、準備……あの事か。
そうか、気になるか。
そうだよな、俺ってストレートな上に。
あなたのお陰でずっと凸側だったもんな。
でも、プライバシー保護のためお答えできない。
「初回の見事な処理に、いたく感心したんだよ。単純なネット検索でここまで出来るのか、と。僕も、当初は探り探りだったし」
気持ち良さに乗じてばかりは居られない声のトーンに負けてあなたの顔を盗み見れば、薄っすらと不穏な笑みを浮かべている。しかも、固くなったそれを体重をかけて押し付け更に動きを早めてくるし。
これって、ブツは大丈夫なのか?
なんて心配も浮かばぬ程に顔が怖いし、何より、あなたが若かりし頃から培ってきたこの絶妙な力加減が裏側を攻めてきて……ですね。
チョー気持ちいいんですけど〜〜!
「職務中に広げた人脈か、はたまた専用店への単独お忍び訪問で得た知識か。怒らないから、今のうちに吐いてしまいなさい」
「う、嘘つくなよ、完全に怒ってんじゃ……ああ、ちょっと……ダメ。激しく、動かさないでぇぇ」
「何度でも、好きなだけイきなさい。きみに尽くすと決めているからね。でも……」
そう言い放つとピタリと動きを止め、項垂れながらボソッと呟いた。
「僕を受け入れるということは、これまで隠した全てを知ることになる。きみに……その覚悟は有るのかい?」
―――覚悟?
そんなものは、あなたのもとに転がり込んだ三年前のあの日にとっくに決めている―――と、これまで大手を振って言えたのも、あなたの本質を知らずに……いや、気付かぬフリをしてやり過ごしたからに他ならない。
思わぬ伏兵の叱咤により
俺はとんでもない卑怯者だ。
でも、同時にあなたが愛おしくてたまらない。
だから、俺はありったけの愛であなたを受け止める。
背を向けて独り思い悩む
時間を奪ったあなたへの贖罪を兼ねて。
それを正直に語るとあなたは機嫌を損ねるに違いないし、そうなれば最悪の放置プレイも有り得る。ここまで来てそれだけは御免
「あなたを人生の師と仰ぐ俺でも、その内に聖人君子を求めるほど純真無垢じゃないよ。人間なんて下手すりゃドス黒い塊だらけだし、俺もこれまでに散々見せて、やらかしてきたんだ。包み隠さず曝け出してくれよ。目に余るときはちゃんと諌めるからさ、心配すんな、どんと来い!」
語尾が上から目線になったが、気にしない。
それくらい大袈裟にせねば伝わらないし。
「ぷふっ! きみって人は、何というか……そういうところに僕は救われているって、気付いてる?」
「へぇ、それは知らなんだあぁぁ……くふぅ。急に再開すんなってぇぇ」
あなたの密やかな哀しみが俺の言動で幾分か軽くなるなら恐悦至極、だが。
「さて、話を戻すよ」
あくまでもしらを切り通せる訳ではないらしい。
お喋りで緩んだ脚をご丁寧に再びガシッと固定し直して尋問はなおも続く。
「指南役は誰? 直に教えを請うたのならば、僕からも世話になった礼をせねばならないからね」
いいえ、それだけは、絶対に言いません。
例えあなた相手だとしてもアウティングには変わりはないし、何よりもあなたが敵視する職場の先輩絡みだから言えるわけがない。
「おや、ならばここで終わりにしようか?」
「嫉妬は嬉しいけど、絶対に言えない。でも……あと一歩ってところでの生殺しは勘弁して! イカせまくるって言質取ったんだから、実行してもらうからな……て…うくぅ、あはぁ……ちょっ、まま待って……で…出るぅっ」
「なるほど、『言えない』か。その一言で良〜く分かったよ、ありがとう。さぁ、我慢は無用だよ。じっくりと愉しもうじゃないの」
してやったり、とばかりに笑みを浮かべて下目遣いの視線がこれでもかと降り注ぐ。
あれ、俺、もしかしてやらかした?
俺のモノは先にやらかしたみたいだけどさ。
「一先ず、お疲れ様。ふむ、お次はどう攻めようかな? 感度が良すぎるのも、善し悪しだね。開発のし甲斐が有りすぎて迷ってしまうよ、ふふふ」
「あはは……あは、あー…腹、減らない?」
「僕のモノも、一度ヌいてからにして欲しいね」
「デスヨネ。では、手っ取り早くにぎにぎ……と」
「丁寧に願いたい……ん、ふぅ…キスも欲しい」
「抱かれるのは俺なんですけど」
「続きは夜のお楽しみ、という事で……許して」
「二度目だから優しくしてくださいよ、せんせ……むぐぐ、ちゅうぅぅ〜♡」
ああ、俺の身体よ。
この人が満足するまで、どうか
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