言葉が軽い

 言葉が軽い。SNSやCMを見ていると、時々思う。

 確かに強い言葉を使えばマーケティングは成功しやすい。一年に一度の傑作より百年に一度の傑作の方が、ほどほどにおいしいより一番おいしいの方が良い物であるというイメージを抱かれやすい。

 だが、百年に一度の傑作を次の年で選ぶのはどうなんだろうか。

 マーケティング上はそれでいいのかもしれない。

 だが、人道的にはどうだろうか。言葉が軽い人は信用に値するだろうか。さらに、強い言い方をするなら、嘘つき、だ。

 嘘はいつか身を燃やす。

 嘘は短期的な利益を生み出すのかもしれない。

 だが、そんなものは裸の王様と大差ない。いつかバレる。バレなくても嘘をついたという経験は自分を苛む。

 異常者ならそれでもいいのかもしれない。彼らは苛むという機能が欠如しているそうだから。

 だが、彼らのそばから賢明な人は確実に去るだろう。残る人はどういう人だろうか。ハイエナのような人だろうか。あるいは人の不幸に愉悦を感じる人だろうか。

 まあ、嘘をつかない、正直に生きるという話をメリット/デメリットで考えている時点で御託だ。

 自分自身の生き方で嘘をつかない、誇り高き生き方をしてほしい。

 私たちは百の言葉を紡ぐより一歩踏み出すことに誇りを持った『侍』の末裔なのだから。


※『侍』について知りたい人は新渡戸稲造の『武士道』を読むと良い。

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