「家庭教師」

 訪れるたび、一輪挿しの蕾を目にする。


「ねえさんは貴方がいらっしゃるから

 蕾を活けるのですよ」


 教え子は今日も勉強に飽いて庭先に出ていた。


「花の開くところを貴方がご覧になれるようにって」


 そう、と僕は生垣の白い花をつぶさに見るふりをした。

 教え子が笑った。


「人も紅葉するのですね」

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