「境目の駅」

 亡者の駅に少女が立つ。


「また来ないのかい」


 車掌は佇む少女に饅頭を渡す。

 車内に忘れられたお供物だ。それを食べ、また彼女の背が伸びる。


「大きくなりたい」


 ぽつんと呟く。大きくなったら迎えにくるという言葉を信じているのだ。


 車掌は頷く。車掌の胸ポケットの写真では幼い少女が笑っていた。

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