「ハッピーバレンタイン」

 帰り道、先を歩く奴の膨らんだリュックを恨めしげに見る。

 朝から友達がもらうチョコのグレードだけが高い。仲良いと思っていた女子達からも、あからさまに差別されたみたいで悔しくなった。


「…お前人気あるんだな」


 ぼそっと呟いたおれに、奴は複雑そうな笑みを向けてくる。


「誕生日だからな」

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