「暗闇祭」

 肝試しで訪れた廃墟の庭に屋台が立ち並んでいた。


 たこ焼きにベビーカステラにお面、綿飴。

 ほの明るい廃墟で穏やかに笑いさざめく人々。


 リンゴ飴を貰って歩いていると知っている顔と目が合った。


 鬼火色に揺らめいて全てが消える。

 取り残された私は一人。


 目が合ったのは写真でしか知らない祖父だった。

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