第1章 幕間① 弟子入り

肌をなでるさわやかな風と鼻につく焦げたにおいで目を覚ます。

全身という全身が痛みを訴えるが、致命的なものはないようだ。意識を失っている時間が長かったためか傷ももう閉じている。


もたれかかった木から体を離し、体を起こす。見回すとあたりは木に覆われおり、自分がいわゆる森にいることは簡単に想像がつく。


ふと付近の木の根元を見ると、そこには見慣れた姿があった。

その少年は茶色の髪を揺らし寝息をたてており、目立った外傷は見受けられない。

そのことに安堵を示し、さきほど、正確には昨夜の出来事に思いをはせ、自然と口が開く。


「____俺たち助かったのか...?」




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ここはどこだろう。


ただそこに自分がいるという感覚だけが存在する世界で、少年は自分がなにものであるかに思考をめぐらせる。


「______おい。 だいじょーぶか? おーい。 起きろー!」


頭の中に声が響く。

だれだろうか。自分に呼びかけているのか?

その声が聞こえる方へ意識を向ける。すると何もなかったと思っていた暗黒の空間が光をとらえ、景色となって視角に情報をもたらす。


初めて見るその光景にどこか懐かしさを感じながら、景色がもたらす意味を紐解く。


「おーい。 生きてんのかー? 返事しろー。 おまえだれだー?」


そこで初めて自分の目の前で話しかけている人間と目が合う。


「あ...。」


なにかを話そうとしても言葉がでてこない。


「お、目が覚めたのか? だいじょーぶか? もうじゅーにでもやられたのか?」


目の前で自分を覗き込むように立つ小さな男の子の言葉にこたえる前に、全身を動かして体を起こす。

どうやら自分はこの森で倒れていたらしい。はじめて自分の姿をまじまじと見つめるが、こころあたりが何一つない。

そこでようやくはじめてはっきりとした疑問を言葉にすることができた。


「ぼくはだれだっけ?」


それがはじめてのコウとの会話だった。




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「おーい! ユウマ! そろそろおきねえとまずいんじゃねえか?」


体を揺さぶられる感覚で目が覚める。

目を開けるとそこにはやれやれという顔でこちらの肩をつかむコウの姿があった。


「ここ天国じゃないよね。」


「馬鹿なこと言ってんじゃねえよ。」


どうやらその言葉は正しそうだ。周りの環境も互いの姿もまるで天国とは思えない。


「......そうだ。 状況を説明してほしいな。 あの後何があったの?」


ユウマが最後に思い出せる記憶は馬車の客室が光に包まれた光景だ。その後何があれば助かったのか到底想像できるものではない。


「悪いけど俺もユウマとほとんど変わんねえよ。 青く光ってもうだめだーってなって、そのあとすげえ衝撃があったぐらいだな。 で気づけば俺たちふたりともここで寝かされてたってわけ。 そういえば荷物も多少なくなっているような気もするけど、そこの木の下にまとめておいてあったぞ。」


そういってバッグをユウマの方へ放り投げる。コウの言う通り中身はほとんど無事だ。


「っは! フータさんたちは? どうなった??」


大事な存在を忘れていた。

もしかしたら僕たちが無事なのも彼らのおかげなのか?


「それも見当たらないな。とりあえず何が起きたのか見に行くか? ちょうど見渡せそうな高台がある。」


そういうとコウは日光が差す森の奥を指さす。


「わかった。いこう。」


ふたりは荷物を抱え歩き出した。





「なんだよこれ...。」


目下には信じがたい光景が映っていた。

自然の高台から王都の東にのびる街道が敷かれた広大な草原を見下ろすと、そこにはあまりにも異質な巨大な黒の窪地とそれに続く道のように王都から伸びた溝があった。窪地の周辺は蒼炎が草原のじわじわと燃やしている。


「...あれってあれだよな...。 どうやって生き残ったっていうんだよ。 あれから。」


考えられるとしたら馬車に追いつく前に火柱が消滅したとか。当たる前に爆ぜてそれより早く走り抜けたとか。

よく見ると窪地の先でばらばらとなった木片があたりに散らばっている。もしかしてあれが僕たちが乗っていた客室か。黒く焦げていないあたり、衝撃で破壊はされたけど燃えはしなかったってことなのか...?



思考を巡らせているとコウがなにかを発見する。


「おい。 あれって...。」


コウが指さす方を見ると、街道の向こうから炎馬に乗った白い制服をまとった軍勢が窪地に向かって行進していた。


「まずいな。 警備団のやつらだ。 俺たちを探しに来たってことか? どうする。」


「フータさんたちのことも気になるけど、警備団が来ている以上ここにいれば見つかるのは時間の問題だ。 はやく国を出た方がいい。」


僕たちが助かっていることからフータさんたちが無事である可能性は十分ある。いまは無事を祈ることだけだ。


「国を出るったってそんな簡単にいくもんなのか?」


「それは...」


ユウマが口を開きかけたその時だった。


「うあああー!!!」


森の奥、彼らの背後から悲鳴が響いたのであった。







「どうする?」


コウの短い問いかけにユウマが少し考え、答える。


「助けよう。 なにか聞けることもあるかもしれない。」


その言葉にコウがうなずくと二人はその悲鳴が聞こえた方へ足音をたてずに走り出した。




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木々を抜け、声の出どころらしきあたりまで近づくと、なにやら複数の獣の気配と戦闘中と思われる男の声がかすかに聞こえる。

ユウマはそのことに気づくと一歩後ろにいるコウに止まるように合図した。

息をひそめ木陰から様子をうかがう。

そこには灰色の毛の5匹の大型の犬のような獣に襲われている少年の姿があった。

少年は鞭のようなものを振り回し抵抗しているが、肩と頭を怪我しているようでいまにも倒れてしまいそうだ。


「俺、左の3匹。」


「わかったよ...。お願いね。」


アイコンタクトで合図を出し、いっせいに茂みを抜ける。


「えっ、えっなに!」


突然の乱入者二人に少年が戸惑っているのを傍目に、コウとユウマは獣たちの不意をついて撃退する。あっという間にすべての獣を追い払い、周囲の警戒はコウに任せユウマは少年に話しかける。


「君、大丈夫?」


初めて間近でその少年を見る。

少年はユウマたちより少し小さく、歳もそれほど変わらない印象だ。落ち着いた緑の髪を肩のあたりでそろえ、植物を編んだような素材でできた肩掛けのバッグをもっている。服装はこのあたりでは見ない格好でどこか神秘的ななにかを思わせるものだった。


「た、助かったよぉ~。」


少年は自分が助かったのだと言葉にだして確認すると、その場でへなへなと座り込んでしまった。


「あ、大丈夫なの? 立てないほど足を怪我してるの?」


ユウマはその少年の様子を見て見た目より怪我が深刻であることを危惧したが、どうやらその心配は無用だったようだ。


「だ、大丈夫。 助かったと思ったら腰が抜けちゃって...。 あ! それよりも助けてくれてありがとう~。 ぼくはアルボロ。 よろしくね。」







「アルボロ? 変な名前だな。」


周囲にこれ以上の脅威はなさそうだと判断したコウが会話に参加する。


「それは失礼だよ! 国によって名前の付け方が違うんだ。 アルボロ、君はどこからきてなにをしてたの?」


ユウマがそう聞くと、アルボロは少し言いにくそうにもじもじしながら話し始めた。


「まあ、なんというか...あ、ぼくは南の森からきた、っていえばわかるかなぁ。炎の国の南。」


王国の南に位置する大森林。地図では見たことあるがかなり大きい。おそらく世界最大規模だ。だがたしかあそこは...。


「あそこは禁足地って聞いたことあるけど。 それにどの国の干渉も許されない土地だとか。」


「禁足地ってなんだ?」


コウが疑問を口にする。


「文字通り、立ち入り禁止の場所。 何かしら理由はあると思うんだけど...。」


アルボロは黙ってうなずく。


「そー。 外の人たちはみんなそういうよ。 みんなが入ってこないのは森の守り神グラメン様の怒りを買うの恐れているんだと思うんだけど。」


守り神。風習や言い伝えが残っているというのか。あるいは...。なんにせよ少し興味がわく。


「なあー。 話それてねえか?」


「そーだった。 ぼくはその森の集落で育ったんだけど。 その...ぼくの力が神の代弁者としてふさわしいみたいなことを言われちゃって...。」


「神の代弁者??」


コウが首をかしげる。


「そう。 森の意志は神の意志。 ぼくたちはその力を借りて生活している。 だけど神は、森はぼくたちと直接話すことができないから。 だから僕が代わりに話をきいてみんなに伝えるってことになってるみたい。」


「みたいって...。 なんでそんなに他人事なの?」


「あー......。それはー...。」


またもやいいにくそうにもじもじしている。


「それはぼくの力がまだまだ未熟だからだよぉ。」








確かに獣と応戦していたとき鞭のようなものをふるっていたが、あれが彼の能力だとするならば本質は戦うことではないにせよ、あまりに代弁者としての"格"がない。


「ああー。たしかに犬に苦戦してたもんな。 そりゃ無理だろ。」


わははと笑うコウの頭をたたく。戦う力がすべてじゃないことを理解しているのだろうか。ソウダヨネとアルボロは小さくなってなにやら考え事をしている。


「あ! そうだ!」


と、急にアルボロが声を上げたかと思うと、ユウマとコウの手をつかむ。


「二人ともすごく強かった! どうかこのぼくの師匠になってくださいっ!!」




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あたりの警戒をおこなうついでに近くに流れる川に水を汲みに出る。このあたりの森は山が近いからか水もおいしい。

あれからコウと交代であたりの見回りをしているが警備団どころか人っ子一人の気配すら感じない。


「____さあ。そろそろ休憩の時間だ。 二人のところへ戻ろう。」


ユウマは三人分の水を汲み終えると森の奥へと戻っていくのだった。




ユウマが戻るとコウとアルボロは木陰で特訓を終え休憩をとっているようだった。


「おまたせ。 はい水。 アルボロも。 まだ追手は来てないみたい。 それよりも特訓の成果はどう?」


受け取った水を飲み干す勢いで飲むコウに尋ねる。

コウは「ぷはぁ」と水筒から口を話すとアルボロの方を見ながら答えた。


「なにから手を付けたらいいのやら...ってことだな。戦闘経験どころか能力を使った経験もほとんどないんだとよ。」


「コウは感覚派だもんね。 人に教えるのはやっぱ無理か。」


「ひどーい。」


わきで泣き真似をするコウをよそにユウマはアルボロに尋ねる。


「アルボロは確か力が特別って話だっけ、力って能力のことなの? そこのあたりを詳しく知りたいな。」


そういうとアルボロは頷き背中から一本の蔓を生やしてみせた。


「みんなが期待しているのはぼくの能力なんだけど、ぼくの能力ってほら、見た通り背中から蔓を生やすだけの力だし、正直ぼく自身もこれでどうしろって思ってるんだよ。」


「能力か...。 僕も能力はつい最近知ったばかりだしなあ。 ...コウ、なんかないのアドバイス。」


「うーん。俺も体の一部を電気にできるだけだしな。 そういえばレンにも俺の能力の弱点とかいろいろ言われたような...。」


ユウマは昔能力についての本を読んだことがある。自分には関係のない話と記憶の底に封印していたが...。


「...確か昔に読んだ本だと、能力が変化、いやできることが減る変化は稀って書いてあったな、能力自体が強化することはあるって本で読んだことがある。」


「能力の強化?」


「そもそも生まれた時点で能力が使えるやつはそういないでしょ? 人は成長とともに能力を扱えるレベルが上がっていくらしいんだ。 それで経験を積むごとに能力は方向をもって強化される。」


「方向を持つってどういうことぉ?」


「そうだな...。 たとえば、宿屋のカンテツさん、彼の能力は体の一部の肥大化だったけど、もしかしたら彼は最初腕しか肥大化できなかったかもしれない。 けど彼は経験を積むことによって腕以外も肥大化することができるように能力が強化された。 そういう方向性に能力が強化されたんだと思う。」


「へえ。やっぱ腕だけだと思うよな。」


「まあ仮定だから、違うかもだけど。 それに肥大する大きさが強化なのかもしれないし、肥大化にともなってパワーが増すことが強化かもしれない。 けど実際に能力が強化されることはよくおこるらしいよ。」


「なるほどな。 じゃあ俺も全身電気化で"無敵"みたいにできるってわけか!」


「でも確かその強化の方向性自体の決定の要因はまだわかってないって書いてあったんだよ。 だからアルボロも...」


「ぼくの力も成長するってことだよね! なにが大事なのかなあ? やっぱり経験?」


「ああ、俺もいっぱい戦って強くなった気がするぜ。」


「あとはイメージとかかなあ。」


ユウマがそう口にだして思い出す。

そういえば炎を出すとき、僕は炎がでるようにイメージしている。

力の発現は突発的だったけど能力を使うときのイメージは思ったより大事なのかもしれない。


「アルボロ。 なにか自分が強くなったような想像ってできる? あとは憧れを抱くようなアルボロにとっての強さの象徴のようなもの。」


ユウマの言葉を聞いて目をつぶりアルボロはうーんと考える。しばらく考えた後納得したように話はじめた。


「___強くなるイメージは想像できないけど、ぼくが考える強さの象徴と言えば、やっぱり"神の宿り木"かなあ。」











「もっとだ!! もっと鼻から力をだすんだ!!」


「だすなら腹からでしょ。」


コウがアルボロに案外スパルタである面をみせつつ特訓に勤しんでいるをみながらユウマは物思いに耽る。

"神の宿り木"。ほかの木に半寄生する植物などではなく、広大な南の森の中でも最も古く最も大きい、文字通り彼らの神グラメン様が宿る、彼らにとって神にも等しい神樹なのだとか。一度は見てみたいものだ。


それにしても彼らの特訓はすごい。

背中から生やした蔓を何度も何度も地面に叩きつけている。

なんでもコウ曰く、鍛えたら強くなる、らしい。

それは筋肉以外にも適応されるものなのだろうかとは思いつつも、力になれつつあるのか蔓の速度ははじめよりもずっと早い。考えるより体を動かす方が案外何とかなるのも見習うべきか。


「よし!いいぞ!! あと10回だ!!  9!! 8!!」


「うおおおお! うおおおおおお!!」


コウも熱くなっているがアルボロも負けていない。いまにも沸騰しそうな顔をしている。


「3!! 2!! 1!! 1!! 1!! まだだまだいける!!」


「はいぃっ! はあっ!!はあっ!!!!」


次第に地面をたたく音が大きくなっているが、二人は興奮しているのか全く意に介していない。アルボロも破裂しそうだ。


「1!! 1!! 1!! 1!! ははは最高だ!!まだやれるぞ!! 1!! 1!!」


「はいぃっ!!!! っていつまで続けるんだぁああああああああ!!!!」


とうとう堪忍袋の緒が切れたのかアルボロは最後の一撃と言わんばかりに蔓を大きく振り上げ、地面に向かって振り下ろす。

瞬間、蔓は一回りぐんと伸び、声を張り上げていたコウの頭上へと一直線に振り落とされた。


「コウ!!」


ユウマが声を上げる。


「へっ! よくなってきたんじゃねえの!!」


コウは振り下ろされる蔓よりもさらに速いスピードで地面にかがむとその勢いのまま地面を蹴り、大きく体をひねって蔓を躱す。

バッチィーーーン!!

コウによけられた蔓は地面に激しく激突し、深々と地面にめり込んだ。


「よおぉし!!アルボロ!! お前はなれる!! 言ってみろ!!!」


ぜえぜえと息を切らすアルボロに向かってコウが喝を入れる。それにこたえるようにアルボロは体を起こし大きく口を開く。


「ぼくはぁあ!! "宿り木"のように!!!! 強くて立派な!! 男になる!!!」


アルボロがそう叫んだ瞬間だったコウの足元の地面が割け、目にもとまらぬ速さで何かがコウを空中へと打ち上げた。


「なっんだあああ!?」


突如として足元に現れた、いや生えたそれは、まるで大樹の根のような幹のようななにかだった。



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「まさかアルボロがあんな力を秘めてたなんてな。」


包帯で体中をぐるぐる巻きにしたコウがユウマが用意したご飯を食べながらしゃべりだす。


「ううう。 ごめんなさい。 まさかこんなことになるなんてぇ...。」


罪悪感のせいか前よりも縮んでいる。


「でもアルボロの目標に一歩近づいたんじゃないかな。 あんなにでかい攻撃を見るのは......うん。 二回目だよ。 すごいよ。」


一回目はよく思い出せないし、あまり思い出したくもない。


「そうだな! ありゃすごかった! いまやっても俺といい勝負するんじゃねえか?」


「それは無理ですぅ。 もとに戻すのもあんなに苦労したんだからぁ。」


アルボロはすっかり自分の力にトラウマを植え付けられたようだった。

無理もないが、あの力が使われないのは惜しい気もする。


「と、悪いけど俺らそろそろ行かなきゃだな。」


コウが何かに気づいたようでユウマにアイコンタクトをとる。

ユウマは無言でうなずくとアルボロにむかって尋ねた。


「アルボロ。僕たちはこの国を出たいんだ。 なにかいい方法はないかな。」


そっとアルボロは顔を上げると鼻をすすり話始めた。


「...ぼくはしばらく帰れないから、森に連れてくことは残念だけどできないんだ。」


「となると、南は無理。西は果てだし、あとは...」


東の氷か、北の水か。


「一番近いとこじゃだめなのか? 早く出た方がいいんだろ?」


ユウマは黙って頷く。


「じゃあ炎の国の東。 氷の国リオールだね。 どうせ北は国境でなかなか超えられないだろうし、師匠たちならあの山くらいなら越えられるよ、たぶん。」


「よし。 わかった。 きめたよ。 次に目指すのは隣国、リオールだ。」


「よしきた。 それじゃ出発だな!」


コウとユウマは片づけを済ませる。


「それじゃ、お別れだね。」


ユウマがアルボロの方へ向き直る。


「___ぼくがんばってみる。」


アルボロが小さな声でつぶやく。


「ぼく、あの力使いこなせて見せる。 使いこなして立派になる。 もっともっと強くなる! だからまた会ったら! ぼくと特訓してください! 師匠!!」


アルボロはうっすら涙を浮かべている。そんなアルボロを見ると幼い自分を見ているようだ。


「ああ。 アルボロがどんなに強くなってたとしても、俺たちはそれ以上に強くなっておまえを鍛えてやる。」


コウが笑う。


「僕は強くなるとは言わないけど、もっといろんなことを見て聞いて君の力になれるよう頑張るよ。 僕たちは友達だ。 また会おうね。」


そういってコウとユウマはアルボロに背を向けて歩き始める。

氷の国リオールへの道は始まったばかりだ。

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