第13話 やったぜ

に戻ってから2週間が経ち、まだ病院からは出れていないが寝たきり状態からは脱し、車椅子には乗れるくらいには回復して食事も比較的食べられるようになった。


時間の進みは早すぎる?


そんなもん、対してみんなに言うほどのことは起きていないな。


ほとんど喋れていないし、寝ていることの方が多いんだよ。


ただ、ここのところは俺がここにいる理由が思い出せなくなってきた。


まあ、強いて言えば1か月と1週間ほど生死を彷徨い続けていたようで医者も気が気でなかったらしく、病院も輸血剤をかなり使ったようだ。


これ、俺に治療費の支払いできるの?


というか、学校は休学状態でこのままでは留年か・・・


仕方がないとはいえ、それは困るなぁ。


今の時代に留年は如何なる理由でも大きな不利益を被る。


それはそうだ。理由なんていくらでも誤魔化す野郎が多く、留年という事実のみが注目される。


これ、人生積んでないか。


おまけに右手と右足に障害が残るが、どうにかなるらしい。


障害は残るが、リハビリを重ねれば日常生活には支障をきたさないレベルとのことだけど、立派にデメリットであることに変わりはないがな。


本格的に捨てられる可能性が出てきた・・・


まだ高校1年だぞ。


これどうすればいいんだろうな。


すでにお先真っ暗なんだが・・・


頭の中であらゆることを試算して、今後の計画の大きな変更を考えていることにした。


そのせいでノック音が聞こえず、誰かが入ってきて視界内に入ってくるまで気が付かんかった。


「ゆーちゃん?ゆーちゃん?難しい顔してどうしたの?」


「ふぁッ!!」


心臓が飛び出るかと焦り、すぐに声が聞こえた方にばっと振り向くとこっちを覗き込むかのように顔を近づける幼馴染主人公の彼女がいた。


「そんなビックリすることないでしょ・・・」


驚かれたことが心外だったのか、割と落ち込んだ顔をしていて俺が悪いことをしたことになっている。


いや、実際に悪いのは俺なんだろうけどね。


「いや、ごめん。って、いつからここにいたんだ?」


「ちょっと前に来たよ。ノックにも気が付かないから遠慮なく入ってきたらロダンみたいになってていつもまでもこっちに気付いてないから声をかけた」


どうやら集中し過ぎていたようだな。


「それは悪かったな・・・」


「もう・・・やっと起きた状態で会話できると思ったのに、こんな対応とはね。自害しろ」


おっと、病人にネタをやれってか?


やってやるよ。


「本当に自害すれば許してくれるのか?」


もう、女の子が見せてはいけない悪い笑顔になっちゃっているよ。


「もちろんよ」


笑いを堪えようとしているのか、真顔になっている。


「だが、断る!」


笑いそうになりながらも全力でネタをやりきるその姿・・・そこにシビれる!あこがれるゥ!


「ナニッ!?」


こんなことに付き合う女の子はそういないからね。


「この出川裕次郎が最も好きなことは自分に素直であることだ」


言い切ったぞ。


あかん、もう耐えられない。


「「・・・・・ぷっ、ハハハハハ!!」」


やっぱり、翔子も限界だったからか盛大に笑っている。


「ふぅーーー、あー笑った笑った。って、見舞いに来たんだった」


「見舞いか、申し訳ない。返すものがないよ」


「気にしないで。私にはゆーちゃんに返しても返しきれない恩があるだから」


「それこそ、気にする。俺が勝手に首を突っ込んで勝手に負けたんだ」


そうだよ。本当に・・・俺が一人で自滅しに行っただけの馬鹿ななのさ。


「はーーー、この話はきりがないから、ここまでにしておく」


「そうだな」


たぶん、ずっと変なことで言って言い返しても堂々巡りになるから翔子の提案に甘えてやめておこう。


「あっ!そういえば、言わなきゃいけないことがある」


うん?


「わ、私・・・・・・・・・・・・大和に告白して付き合うことになったの///////」


そうか、おめでとうって?!えっ!!!!!!???


「なっ、なんだって!?」


「付き合うことになったのって、何度も言わせないでよ//////」


マジでか、やっとか・・・長かったなぁ。


「俺はくたばっている場合か??!!おめでとう!!!!」


「ちょっと?!、ゆーちゃん!!なんで泣いてるの!!!」


あ、なんか視界がぼやけて頬に液体のようなものが伝っていると思ったら、そういうことだったか・・・


「いや、やっとかと思ってな。こ、この夫婦漫才糖尿病製造機バカップルめ!!」


「夫婦漫才糖尿病製造機バカップル!?」


ふッ、これくらいは言わせろ。


「で、どこまで言ったんだい?キス?それとも・・・」


もう、言っていることがエロ親父か何かという自覚はあるが、気にするな。


恋人弄りは独身貴族の嗜みなのさ。


「ううう、ゆーちゃんの意地悪////////」


「そんな可愛い顔で言ってもダメだ。その顔はあいつのために使え。特効だぞ」


何年幼馴染の友達、否、お前らの脇役としてやっていると思っているんだ。


約十数年の付き合いは伊達じゃないぞ。


「まさかとは思うが、恋人繋ぎもしていないなんてことはないよな?」


「ギクッ!」


口で言う奴を初めてみたぞって、言っている場合ではない!!


「馬鹿野郎!!そんなもん、とっくの昔に既成事実まで済ませるのがバカップルだろ!!」


「ゆーちゃん!!いくら幼馴染でもそれは言っていけないよ。そして、野郎じゃない、ぶっ殺すぞ♡」


言っていることが物騒すぎるぞ。というか、♡をつけるな!♡を!!


「病院で騒ぐなって、太郎はそこまで元気になったか」


呆れた顔をしながら入ってきた親友主人公が入ってきて、俺を見るなり安堵した顔を見せていた。


「ああ、そしておめでとうな・・・リア充爆発しろぉーー!!!!」


「見舞いに来たのにいきなり罵声を浴びせるな、太郎」


「バカップルには分かるまい、独身貴族の特権だぞ」


とドヤ顔で言ったら何故か二人が急にジト目になって俺を見てくる・・・こっち見んな!!


解せぬ・・・


「「はーーー、これは大変なことになるぞ」」


おい、それは俺のセリフだろ。


というか、俺はもうお役御免のはずだぜ。


え?まだ俺に何かやらせる気か!!


死に掛けたのにまだをこき使うのか、神様作者!!!


労基署に駆けこむぞ!!


脇役や、はよ開けんかいゴラァ!!ドア開けんかい!


そんな態度なら神様作者権限でさらなる地獄に墜としてやろう


ちょ、ちょっと待ってください!助けて!お願いします!ああああああ!!!!!



































みんなも神様と接する時はいくら腹立つことがあっても穏やかにやろう


ゆうたろう


続く?

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主人公の脇役は辛いよ @alphadead

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