第4話 脇役の宿命 Ⅳ

さて、転校生第二のヒロイン?が来てから少し経つが相変わらず親友主人公幼馴染ヒロイン事件ラブコメを起こしたり起こさなかったりする中で桜が散って、暑くなってくる頃に学校行事が増えてくる。


三者面談なるものがあったが、俺には一切関係ないイベントだ。


まあ、二者面談になるけどな。


「出川、本当に大学に予定はないか?今の成績を保てば給付型奨学金も取れるぞ」


大学には行ってみたいが、両親がそこまでお金を出してくれるとは思えないし、

『これがやりたい!』という学問はない。


大学は就職までの免罪とかというふざけている風潮は大嫌いだ。


大学は最高学府であり、ガキの遊び場ではない。


もちろん、人間関係とか色々と学べるものはあるんだろうが、俺にはそんな余裕はない。


「親に生活費で迷惑をかけたくないので、防大か自衛隊しか考えておりません」


「親は迷惑をかけてなんぼとは言わんけど、そんなことを迷惑と感じる親は普通いない」


ね・・・


両親からお荷物扱いの視線を浴びたことあんのか?


頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても頑張ったても褒められるどころか煙たがられるこの気持ちを分かるのか。


そんな経験をしたこともないのに言うな。


ほぼ毎日バイトしなきゃ健康で文化的な最低限度の生活すら危うくて家の維持費、税金と最低限の光熱費等を仕送りとして渡され、支払えば1日1食500円設定だったら1か月は持つというお金しか残らない。


遊ぶお金なんて残してくれているわけがない。


今の生活でギリギリなのにこれから受験勉強で忙しくなったら、俺睡眠不足で死ぬ。


間違いなくだ。


まあ、たぶん学校の成績に関わるから無理にでも大学と言っているんだろうな。


就職組は少なからず存在するが、あまりいい目には合っていない。


教師から圧迫がすごく、なんなら大学へ進学すると決めていても国立以外は無意味だと平気で言える奴もいるくらいだ。


おっと、これ以上はいけない。


「無理にとは言わないけど、まだ時間はあるんだから進路はよく考えていてくれ」


「分かりました」


ここで荒波を立てたくないから心の内を封印して、この場乗り切って家に帰った。


この日はバイト先と調整して休みにしてもらっている。


光熱費は最低限とはいえれど、お風呂に入れるほどのお金は入れてもらえていない。


バイトでもらっている給料でもう少し出せばいいんだろうが、高校生バイトの時給はそんな多くはないし、貯蓄とかに回さないと何かあった時に困る。


病院に行くお金も自腹なのだから。


世界は脇役噛ませ犬に厳しすぎるな。


とまあ、暗い話はここまでにしておこうか。


少し貯めたお金を使って遠足に行くことになった。


遠足先は東大寺周辺で、4人一つのグループとして行動して歴史的建造物を見て来いという趣旨の内容で帰りに作文を書かされる奴。


てな、わけで俺はあまりもの枠のグループに追われて細々とこの遠足を追えるはずだった・・・


「やまと、大仏すごいね」


「だな」


「銅造盧舎那仏坐像・・・」


なんで親友主人公幼馴染ヒロイン転校生第二のヒロイン?と一緒に行動する羽目になったんだろう(遠い目)


俺の胃がキリキリと痛み、とても遠足を楽しめるような状態じゃない。


戦場修羅場がいつ起きるか冷や冷やしたくないよ。


今日くらいゆっくりさせてくれと俺の心の悲痛な叫びは誰にも届かないまま時間が過ぎていく。


転校生第二のヒロイン?がソワソワしているし、なんなら微かに顔が赤いような気もする。


それを牽制するかのように親友主人公に抱き着く幼馴染ヒロインがいて、俺的に最悪の構図になっている。


はぁーーーーーーーーーーーーーーーーー(クソでか溜息)







「はぁーーーーーーーーーーーーーーーーー」


「ど、どうされました?」


しまった!心の溜息が表に出てしまった!!


「いや、なんでもない。ちょっと疲れているだけだ」


「本当ですか?」


「ああ。あと、敬語をやめてくれるとありがたい。あなたが疲れるでしょう」


転校生第二のヒロイン?とはあまりに接点がなさ過ぎて、会話がまだ出会ったばかりの頃にみたいになってしまっているが、仕方がない。


俺が勉強、バイトと事件ラブコメの対応に追われててそれどころじゃないのだ。


「分かった。本当に大丈夫?」


「ああ、まだ昨日のバイトの疲れが残っているが大丈夫だ」


事件ラブコメの対応がなければ俺はもっと元気だ。


「そうですか」


とりあえず、今日の行事が終われば珍しくバイトがないからゆっくりできるのだが、残念ながらそう簡単に終わってくれないようだと、この時の俺は知る由もなかった・・・



























お昼ご飯の時間になり、奈良公園の近くにある蕎麦屋で食べることになったが、どうせここで誰が親友主人公と揉めるんだろうなと身構えているとそれが杞憂なようだ。


転校生第二のヒロイン?がすっと俺の隣に座ったことで終わったようだが、俺は事件ラブコメ多発のせいで調教されすぎていてかなり大きな違和感を感じていたが、俺は気にしないことにした。


俺はここでもっと警戒していたらあんなことは起きなかったと後に思う・・・


事件ラブコメに疲れていた俺はその時は気にせずに天ぷらがのっている温かい蕎麦を堪能しながら一息を入れていた。


午後から春日大社に行って集合場所である奈良公園に帰ったところで今日の遠足が終わって、解散になった。


俺らは電車に乗って帰り、電車が混んでいて運よく三人が座れる場所があったので親友主人公に花を持たせるような感じで席をあいつらに譲って俺は扉の方で吊り革を持って立ちながら電車に揺られる帰路となった。


途中まで4人で帰って、親友主人公が急用でいなくなって転校生第二のヒロイン?幼馴染ヒロインが俺とは方面が違うことで別れて今日が終わるはずだった。


別れてから10分程で家に戻って、着替えるとすぐに晩御飯の用意をし始めていた。


今日はパスタの気分だからフライパンに水を入れて火をかけて、その間に業務スーパーで安かった冷凍の海鮮ミックスをボウルに入れて電子レンジの解凍している間にレタスを切ってお皿に盛ってオリーブオイルと塩だけのドレッシングをかけた。


そして、お湯ができたところで一人前分のパスタをフライパンに入れてタイマーを6分にセットするとシンクにざるを置いて電子レンジから解凍した海鮮ミックスを取り出した。


ニンニクとかの必要なもの用意しているうちにタイマーが鳴り、フライパンをシンクに持って行ってざるでパスタの湯切りするとフライパンをタオルで一拭きしてコンロに載せてオリーブオイルを入れて強火で熱して30秒ほどでニンニクを入れる。


いい感じの色になったところで輪唐辛子とキノコを入れて少し炒める。


そして、パスタを投入して混ぜ合わせながら炒めて塩を少し多めに入れて胡椒も忘れずに入れて用意したお皿に入れて完成だ。


フライパンでパスタをやると洗い物も減るし、吹き零れしにくいからいいなぁと思いながら食べる。


ニンニクの香ばしさ、唐辛子のピリッとした辛さと塩辛い感じがよく、サラダのシンプルなドレッシングがレタスの美味しさを引き出すって、俺はなにやっているだろうと思いながら完食するとシンクに持っていき、洗い始めた。


洗いものを終えると食後に紅茶を飲もうとケトルに水を入れてスイッチを入れた。


転校生第二のヒロイン?幼馴染ヒロインの家は親友主人公の両隣らしいが、俺には嬉しいことだ。


だって、戦場修羅場の火の粉がこっちにまったく飛ばないからなっと思っていると幼馴染ヒロインの母から電話が入っていた。


なんだろう、猛烈に嫌な予感がする・・・


「はい、出川裕太郎です」


「あ、裕太郎くん。翔子ちゃんってそっちにいない?」


「いえ、途中で別れましたが家に向かっているはずですよ」


「それが


おいおい、あいつはそんなことは絶対にしないと言えるほど良い子だから間違いなく何かに巻き込まれたな。


「大和に電話しました?」


「大和くんが電話でないからあなたに電話しているの」


急用と音信不通の幼馴染ヒロインってタイミング悪すぎだろ。


神様作者はなにする気なんだ?


「分かりました。私の方で探してみます」


それだけ言って動ける格好に着替えて探しに出て、誰かに電話を掛けた。


「お久しぶりです。・・・」







続く・・・

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