第2話 脇役の宿命 II

「で、最期に言うことあるか?」


一人が処刑台に登壇して執行人が受刑者に対して言う事務的な流れで親友主人公が教室で断罪されようとしていた。


「ちょっと待ってぇ!勝手に殺そうとしないでくれるか!!僕は本当に何もやってない!!!!太郎、信じてくれ!!!!!」


「やった人は皆そう言うんだよなぁ」


「断じてやってない!!」


まあ、そうだろうなぁ。


ラッキースケベ恒例行事は本人の意思ではなく、ラブコメの神様作者の気分次第ですから。


だけど、面白そうだから断罪してあげよう。


愉悦!!!!!!


「悦に入らないでくれ!!」


流石、親友主人公は俺の冗談を分かっていると巫山戯るのもここまでにしておこう。


「で、話を要約すると水上さんが痴漢に遭っていることに気が付いて犯人を捕まえて駅員に突き出して後に格好つけて去ろうとしたら転けて事件ラッキースケベが発生したと…」


今北産業今来たので3行で説明をお願いしますは難しいな。


さてさて、この事態を昼休みの間でどう収拾するか。


あっ、午前の授業はって?


そんなもんは時間の経過ってことで許してください。お願いします。


とりあえず、場所は教室だが弁当を食べられる状況じゃないけど、猛烈にお腹空いているから早く終わらせたい。


だが、間違えると今後が大変面倒臭いのでここでキチンと解決というか問題を解消しておく必要がある。


平穏な高校生活のために!!


「処す?処さない?処そうよ」


幼馴染ヒロインが一番厄介なんだなよな。


いや、親友主人公自分幼馴染の女に手を出しているのは気に入らないことに変わりはないとは言えれど、今この場でやるな。


お互いの家の中で勝手にやってくれよ。


なんで、戦場修羅場を学校にしようとするんだ?


「あ、あの…」


ほら、転校生第二のヒロインがやり過ぎで困っているじゃないか。


昼休みが始まってから親友主人公がずっとヘッドロックされているから、そらそうなる。


「自分の早とちりで誤解だったようですから…」


本人が許すと言ってるから終わると思うだろ。


ところがどっこい、これでは終わらないのがラブコメの世界さ。


だって、神様作者は残酷で最低なのだ。


もにゅっ


親友主人公ラッキースケベ恒例行事が今目の前で起き、全てがスローモーションのように動いて見える。


なんでこうなるんだと嘆きながらこれ以上の惨劇が起きないように転校生第二のヒロインを退避させて、俺を盾にする形で立った。


そして…


「こ、この変態!」


「あべしッ!!!」


哀れ(笑)にもまた殴り飛ばされる親友主人公


まあ、ラブコメ補正で無傷でしょ。


あっ、前回で紹介するのを忘れた。


親友主人公長嶺大和ながみね やまと



幼馴染ヒロイン谷川翔子たにがわ しょうこ


やはり、主人公は主人公らしい名前でラッキースケベ体質なんだなぁと思いながら事態の収拾を諦めて席に戻ってスクールバッグから弁当箱を取り出した。


ご飯と梅干しの日の丸弁当


日本男児たるものはこれだろう…というのは嘘です。


ちゃんとお菜もありまっせ。


小さな鳥の唐揚げ2個とギュウギュウに詰められたブロッコリーだけ。


本当は食堂の方が事件ラブコメから逃げられるし、美味しいだろうけど悲しいことに俺は両親が家にいない脇役になっている。


両親は仕事で仕送りはあるもののかなりというか確実にそれだけでは餓死するので仕送りもないからバイトしてはなるべく安く済まさなきゃならん。


だって、仕送りと言うても家の維持費、税金とわずかにあるお小遣いだよ。


だが、食べることは妥協したくない。


あっ、言っておくがデブではないぞ。


はぁ〜


早く社会人になって給料もらってそれなりの生活したいなぁと頭の片隅で考えながら口にご飯を運んでは食べる。


ご飯は少し硬めになるように水を少なめにして梅干しは偶然安かった紀州梅干ですごい酸っぱく、顔が歪むレベル。


鳥の唐揚げは昨日の夕食で余った鶏肉を使い、あとは安い、大容量、品質はそこそこの業務用冷凍ブロッコリーを解凍して茹でて塩を軽く振っただけ。


これだけで美味しいのだよ。


飽食時代にこんな素食する健全な男子高校生は俺くらいだろうと言い張れるぞ。


何それ悲しい…


なんかこれ以上言うと虚しくなってくるから無心で食べることにした。































昼休みが終わり、いつの間にか放課後になっていた。


えっ、時間が過ぎ方が可笑しいって?


そんなもん、俺はただの脇役なんだからそんなものだよ。


さて、事件に巻き込まれる前に大急ぎで教室を出て下駄箱にたどり着いて、ローファーに履き替えて駐輪場に行く。


愛車『ウラヌス号』(嘘)を跨いで真っ直ぐバイト先へと向かう。


学校からは自転車で15分くらいの場所で皆大好き、つい嬉しくなると殺っちゃうんだ(狂気)でお馴染みのあの方の敵対する所で働いている。


一番融通がきくし、福利が結構しっかりしているからそこで働いているけど、かなり大変ではある。


まあ、お金のために働いているから気にしていない。


「おっ、来たか。ピークだから急いでくれよ」


「すみません、すぐにシフト入ります」


今日も明日も続くバイト生活に明け暮れているといつの間にか21時過ぎになり、家に帰れば弁当をすぐに詰められるように準備して勉強すれば24時には寝る。


そして、6時半に起きては7時半には家を出て8時に学校で脇役として事件ラブコメに巻き込まれる。


あれ?俺いつ休んでいるんだろうな。


平穏な生活はいつか来るだろうと願いながら日常を過ごしていく…


続く?

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