主人公の脇役は辛いよ

@alphadead

第1話 脇役の宿命 Ⅰ

主人公はヒロインと結ばれるという確定も同然の勝ちルートを生まれながらして持っている。


だが、主人公の脇役・・・つまり親友とかは当て馬か嚙ませ犬しかない。


当たり前のことだが、脇役は主人公にはなり得ない。


なぜなら、主人公は主人公でしかないからだ。


つまり、俺がなにを言いたいか。





































































リア充爆発しろ!!!!!!!!!


そして、結婚して末永くよろしくヤってろ!!!!


こっちが糖尿病になる前にな!!!


ああ、腹立つな。


なんでこんなモノローグみたいなことを言っているかって?


俺の目の前でイチャコラやっている親友主人公とその幼馴染ヒロインが喧嘩という名の夫婦漫才を繰り広げており、周囲に甚大な被害を与えているんだ。


買ってきたブラックコーヒーのペットボトルがカフェオレに化けて、血糖値がカンストしそうになっている。


親友主人公幼馴染ヒロインのが、質悪いのだよ。


幼馴染ヒロインには恋心なんてない。


えっ?普通は待って三角関係か修羅場になるのがセオリーだろうって?


セオリーなんてものは知らん!


どうせ、第二、第三のヒロインが勝手に修羅場戦場を作り出すのさ。


あっ、俺が何者か自己紹介するのを忘れていた。


どうも、出川裕太郎でがわ ゆうたろうです。


恋愛に興味などないが、親友主人公幼馴染ヒロインのラブコメを支えたり、茶々を入れたりする。


ということでそろそろ、親友主人公幼馴染ヒロインの二人を止めないといつまでも喧嘩夫婦漫才をやりかねない。


「お~い、夫婦漫才はそこまでにしておけよ。もうすぐ、HRが始まるぞ」


「「夫婦漫才じゃねぇ(じゃないよ)」」


うん、息がそろっているようでなによりだね。


「ねぇ、ゆーちゃん聞いてよ!そこの木偶の坊がさあ・・・」


ゆーちゃんというのは幼馴染ヒロインが俺につけたあだ名である。


「はいはい、その話は次の休み時間に聞くから席に戻ろうか」


幼馴染ヒロインは不承不承という顔だったが席には戻ってくれたので、とりあえず、事態収拾して閉廷させる。


「太郎、こいつの言うことを信じるなよ。僕こそが被害者だよ」


太郎と親友主人公がつけたあだ名だが、俺は「犬か!?」と何度も言って抗議したが、今は諦めている。


「申し開きは後で聞くから今は席に座ってくれるか。先生に怒られたくないだろ」


「分かったよ」


こいつも渋々ながら座ってくれたタイミングでチャイムが鳴り、やっと俺の安寧が訪れ、机の中から一限目の授業の用意をそそくさと進めて、担任が入ってくるのを待っていた。


「みんな、おはよう」


ガラガラと引き戸を開けながら入ってくる担任、松永先生が名簿を教卓において日直に声をかけるといつもの日常が始まる。


そう思っていると、イレギュラーが発生した。


「今日、が来ている」


嫌な予感しかないぞ・・・


担任に促されて入る転校生はまるでお人形のような白い肌と漆黒の髪をしており、一言で表すなら大和撫子である。


そして、考えうる最悪の事態が起きるのだろう。


「今日からこのクラスでお世話になる水上絢美です。よろしく、お願いします」


透き通った声が通り抜けるが、俺にとっては死神の宣告にしか聞こえなかった。


だって、前に座っている親友主人公がガタガタ震えており、明らかになにかをやらかしたようだ。


ああ、神様がいるならば答えて欲しい。


なぜ、我にこんな試練をお与えになるのですかと聞きたい。


転校生は担任に指定された空席に歩み、それが親友主人公の隣であった。


そして・・・


「あーーーーーーーーーーーーーーー、朝の変態ーーーー!!!!」


「ち、違う!!」


「な、なにをやったのよ!!この助兵衛がぁーーー!!」


親友主人公幼馴染ヒロインに殴り飛ばされて、俺は頭を抱えながら転校生に近づいた。


「なにがあったかは、分からないけどうちのバカが申し訳ございませんでした」と綺麗な45度のお辞儀をしてとりあえず謝った。


きっと、ラッキースケベ恒例行事が発動してしまった被害者なのだろう。


勝手に断定するのはあいつには申し訳ないけど、9割方はあいつのせいだからな。


おいおい、俺が死ぬぞ。


某総統閣下のように「畜生めぇーーー!!」と内心で叫んで、このあとどうしようかと考えていた。


なんでここで転校生第二のヒロインが登場するかねぇ・・・


いったい何時になったら俺に安寧が訪れるのだろうなぁ。




続く?

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