エピローグ
4月。
その日は平日で、仕事が休みだった俺は家でのんびりと過ごしていた。
のんびりと言ってもだらだらしているわけではない。
昇進する為の勉強をおこなったり、息抜きがてら料理をしてみたりと有意義に休日を満喫している。
同居人が帰ってきたらのんびりとはいかなくなるから、な。
勢いでロコに告白してしまった後、話はとんとん
やはり相手もロコとの同居を望んではいなかったようで、それを聞いてむしろ喜んでいた。
まぁ、ロコの存在が彩名叔母さんの結婚の足枷になっていたのだから無理もない。
当たり前だ。その辺はちゃんとTPOをわきまえている。
というか、我ながらロコを助けたい・一緒にいたいという一心で、とんでもなくぶっ飛んだことをしたよな......もちろん後悔はしていないけど。
俺の行動を後押ししてくれた副店長には同居する
俺とロコの関係は職場ではまだ兄と義妹という設定で通している。
副店長に知られたら以前のような不機嫌ではすまされないだろう。
もしも本当にロコと結婚する時が来たら、その時はどうしよう?
まぁ、その時はその時。人生なんとかなるもんだ。
「ただいまー」
噂のロコが高校から帰ってきた。
当初3月で高校を中退するつもりだったが、俺や彩名叔母さんからの助言もあって退学はせず留年という道を選んだ。
俺自身、高校を中退して苦労したからロコには同じ思いはさせたくない。
「おかえりー。そういえば
「なんであの子は私じゃなくて
ロコは肘で俺の脇腹を小突いた。
兎苺ちゃんとは今ではメッセージ友達で、こうしてたまに連絡が来る。
あの日の夜、心配して久しぶりに会いに来た兎苺ちゃんを一方的に怒ってしまったロコ。
本人もそのことをかなり気にしていたようで酷く後悔していた。
兎苺ちゃんが会いに来るのが遅かった理由が、周りの大人たちが事故のことを知らせず隠していた為だと知ると、仲直りするのにそんなに時間はかからなかった。
「まだお前のことが怖いんじゃないのか? あの時のロコ、牙を剥き出しにした犬みたいで俺でもちょっと怖かったし」
「うぅぅぅぅぅぅ。それは言わないでよ~。あの時は剣真にいろいろとバレそうだったからついさ~」
困った表情で何故か俺の肩をもんでくる。
最近は以前よりも増してこういったスキンシップが増えた気がする。
......俺としては、嬉しくないはずがないわけで。
「――で、今日の夕飯何が食べたい?」
「そうだな......やっぱり味噌汁かな? ネギたっぷりの」
「汁ものじゃなくてメインを聞いてるんだけど」
「だったらハンバーグだろ。ロコ特製、隠し味に味噌が入った奴」
「了解! じゃあ着替えたら急いで支度しちゃうね☆」
ロコはハンバーグと言われるのが分かっていたような笑みを浮かべ、パタパタと自室へ向かおうとして。
「なぁ、ロコ」
俺の方を振り返った。
「また会いに来てくれて、ありがとな」
俺はもう、一人じゃない。
完
***
最後まで読んで下さって本当にありがとうございました!
自身二作目、初めて完結させた作品が今作になります。
よろしければ今後の参考にさせて頂きたいので、目次のページの下にあるレビューの欄に感想を書いて頂けると、とても作者が喜びます。
次作の構想もある程度できあがっているので、またその時にお会いしましょう。
せんと
隣で寝てるJK。実は前世は我が家のペットでした。 せんと @build2018
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