赤鞘の二壮士

戊辰戦争における二本松藩でその名を知っていたのは「二本松少年隊」をはじめ「上之内の二銃士」「大壇口の二勇士」でしたが、「赤鞘の二壮士」と呼ばれるふたりがおられたことを後から知りました。名前しか知らなかった彼らふたりが、この小説では生き生きと描かれています。

まわりから怖がられていることを気にする泰四郎さんと、どこかのんびりとした悦蔵さんのコンビ。
いつも自分に合わせてくる悦蔵さんが分からない泰四郎さんですが、ふたりのやりとりは読んでいて微笑ましく思えます。けれどもそれは、国境に迫り来る戦に飲み込まれてしまう。
命を懸けた戦いを前に、泰四郎さんの悦蔵さんに対する心の葛藤がよく描き表されていて、作者様の文才にほれぼれします。
けして完璧じゃない。互いに無いものを追い求めるようなふたりの思い、切なくも素晴らしかったです。
私の中の泰四郎さんや悦蔵さんの人物像が立体的に膨れ上がりました。

死地に赴く彼らの心情はどれほどのものか。いつも思いを馳せてしまいます。
どんなに鍛錬を積んだ者でも、死の恐怖に打ち勝つことは容易ではないでしょう。この小説で戦いの状況なども知ることができました。あらためてあの時代、あの戦争で戦った人たちへ敬意を捧げたいです。

また、泰四郎さんのその後や作品の中に散りばめられたエピソードなども(鯉魚の本、やっぱあの人が書いたんだ!とか) 嬉しい発見でした。ありがとうございます(幸)

二本松藩についてまだまだ知らないことが多いですが、史料や作者様の作品を通して深く知っていきたいです。一方的かつ長文失礼いたしました。

これからも素敵な作品を書き続けてください!
応援しております!