2-6 Out break of war
2-6 Out break of war
6
岩肌を露出して、荒野を演出している谷間に内郷らF組御一行はいた。先日
の試験会場とは別の場所のようで、今回はヘリでの移動ではなく、ココま
で徒歩での移動だ。
内郷と並んで歩いている宮古の傍には山のように積み上げられた荷物
が崩れることなく、歩く彼らに並走して付いてくる。
内郷の横に引っ付いている怨那が、内郷の陰から宮古を覗き込むように
して、いった。
「バカだいちぃ〜。なんでこんなにトロいわけぇ?!」
「バカ大地言うな!地面に謝れ!! 大体、ワザと言ってるよな!」
「ワザと? 間違ったコトは言ってないしぃー」
「ぬぬぬぬぅ〜!! このメスギツネが!」
「罵倒には雄雌わけるんだ? 男女差別反対とか普段言っといて」
「まあまあまあ!!! 二人共、落ち着いて!」
二人に挟まれ、首を忙しく動かしていた内郷が声を荒げた。
すぐさま態度を一転させ、怨那は内郷に甘える素振りをする。
「あ〜んっ、ウッチーー! アホ大地がいじめてくるぅ〜」
片手で抱き付こうとする怨那を内郷はあしらいながら、顔を宮古の方へ向け、軽く言った。
「涼窩に頼めば良かったのに・・・・・・」。
「簡単に言ってくれるねぇ〜」
「ウチは手助け、ちゃんとしてやったやんっ」
あしらわれた怨那をからかっている涼窩が投げやり発言した宮古に恩着せがましく、いった。
すると、上空に水蒸気を集め、鏡のようにした炎華が見上げながら、いった。
「ちゃんと、ねぇ。。」
「うわあっ。ホント、小っさっ!!」
炎華の仕草につられて上空を見た内郷は思わず叫んでしまった.
上空、といっても十数メートル、同行している荷物のよりやや高い程度、
その位置に、雨上がりに蒼天の空や雲を映し出す水溜り
のような鏡がそこ
にあった。そして、それは鏡であるコトを証明するか如く、荷物の山を上から
見たかのような構図に加え、F組一行の見上げている姿も映し出していたからだ。
班を二つ分けたので、映ってる人数や顔触れが違えば、すぐに気付けるだろう。
すこし拗ねた感じの様相を内郷だけに見せるように涼窩は動くと、ケラケラと笑った。
「ヒロくん!ナニ言ってはんのや? 小さくても、一文字だけのように見えてはるかもしーひんけど、アレはルーン文字やで!!」
「でも涼窩はヒマラヤ山脈の南の大陸がルーツなんでしょ。ルーン文字っていったら・・・・・・」
そう言うと、内郷は前方の目的地でもある山々に顔を向けた。所々白い
ラインが浮き出た血管のように延っている蒼い山々。その上空には暗雲が覆い、
雲の合間に閃光を感じる。
「ソフィーとおんなじ班にならんくて良かったよな」
「ウチの祖先がアーリア人らしいけど、あんなんとちゃう!
「ああ。だから、西のケルトに、ルーン文字か。。。」
「聖南はヤンキーっぽいのに、そーいうのにめっちゃ詳しいよねぇ〜」
「聖南さんは観てた番組の影響で、そんなアレにんqっただけで・・・・・・」
ブルっと震えて見せた宮古を横目に、涼窩が澄ましたように語り、その言
葉に納得したように言葉を添える久須志。その彼女に軽く感心したよう
に怨那は口を挟み、その言葉に炎華は苦笑いした。
内郷の腕に自分の手首を絡ませてながら背後に怨那は顔を向け、いった。
で。あんたはこれからどうしたいの?」
そこにはしばらく教室どころか、寮にも姿を見せていなかった麗焔の姿があった。
「もう祖国には帰れないし、父も母も親類も友人もいない場所だったからネ・・・・・・」
麗焔は東の大陸の他民族の自治区と隣接する貧しい農村生まれた。大陸で生まれたはずなのに、東端の島の神話のように、母は出産時の大やけどが元で亡くなってしまう。忌み嫌われながら燃やされたくない一心で幼少期まで育てられた麗焔は当局に目をつけられ、逮捕、連行される。医療実験は当局に多大な損失させ、計画自体闇の中へ葬り去られた。非検体に異常はなく、今度は軍事訓練をさせられ、人間兵器化を目論んだが大失敗。廃棄のできない使えない駒、と呼ばれ、それでさらに部隊を一つ壊滅に追い込み、事実上国外追放だったようだ。
しかし、改めて聴くと、傍にいて大丈夫なんだろうか?(汗)
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